西遊記パロ3


要塞の書物を漁って二日目。


ア『ロックオン!見つけました!!』
ロ『本当か!?さすがアレルヤ!!で?なんて書いてあるんだ!?』
ア『あ、あの…それが…』
ロ『“房中術”…?なんだそれ。全然聞いたことねぇ。えーっと、‥‥‥‥‥ちょ、これって…!!』
ア『「男女が交わって“気”を高めあう方法」って、無理ですよね。すいません…。たぶん、すごい方
  法だったから中途半端に覚えてたんだ…。すいません、無駄な時間を取らせてしまって…。でも、
  これで諦めてくれますか?』
ロ『‥‥‥‥‥‥‥‥』
ア『ロックオン』
ロ『これ、男と男じゃ駄目なのかな』
ア『ロックオン!?』
ロ『あぁ、「陰と陽の気が交わり合って」って書いてあるわ。でもなんとかなる気がしないか?なぁア
  レルヤ?』
ア『なぁ、じゃないですよ!!自分が何言ってるかわかってますか!?』
ロ『わかってるよ!でもこれしか方法ないんだろ!?』
ア『でも、何するかわかってるでしょう!?できませんよ、そんな…っ!!』
ロ『試すだけでいいよ!やってみて、全然手応えなかったら今度こそ諦めるから!!』
ア『た、試すっていったって…』
ロ『あ‥‥。悪い。俺、アレルヤの気持ち考えてなかった…。ごめんな。そっか、アレルヤは俺となん
  て、男となんてしたくないよな…』


そんなことない!そう叫ぶ代わりに、アレルヤは反射的にロックオンへ手を伸ばしていた。
肩を押さえ、壁に押しつけるように体を押し倒すと、ロックオンの柔らかい唇を塞いだ。


ロ『ん、ふ、ぅん…ん…』
ア『っ、ふ、…は、ロック、オン…』
ロ『アレルヤ…』
ア『手応え、ありそうですか?』
ロ『う、ん…。なんか、体が熱くなった気がする…。アレルヤ、もっかい…』
ア『はい…』


それから数回、舌を絡めたり、吸ったりしながらキスを交わす。


ロ『なんか…いけそうな気がする…。アレルヤ、やってみよう?』
ア『ロックオンが、僕でいいのなら』
ロ『お前しか頼める奴いねぇよ。頼む、アレルヤ。俺を抱いて…?』
ア『わかりました』
ロ『ん‥‥‥って、あれ?アレルヤ?』
ア『そうと決まったらちゃんとやり方を勉強しないと。すいません、本番はもう少し待ってください』
ロ『…アレルヤ』
ア『はい?』
ロ『お前、真面目すぎ』
ア『? ありがとうございます』
ロ『褒めてるんじゃねーよぉ…』


翌日から、ロックオンにとってはかなり心臓に悪い、アレルヤの勉強会が始まった。
まずは、そんなもんまでこの要塞にはあるのか!子供の教育によくない!と叫びたくなるような、所謂
そういうテクニックの本を読みあさる。
自分より年下の、幼い子供がそんな本を読んでいるのを間近で見ていると大変いたたまれなくなってく
る。
何度、痛くてもいいからと頼み込んだかわからない。その度に「でも、失敗したらたいへんですから」
と逃げられてしまう。
そして三日目の夜。ようやくアレルヤが本を置いた。



ア『すいません、時間がかかってしまって。昼間は訓練があるから部屋にいないと怪しまれるし』
ロ『いいよ。むしろ協力してくれてありがたがってんだからさ、謝るな』
ア『はい…』
ロ『で、だ。あんだけ俺にいたたまれない思いをさせたんだから、準備はいいんだよな?』
ア『はい』
ロ『じゃ、頼むぜ』

ムードがないなぁ、とか思ったりしたが、これは術なのだから気にすることではないと振り切る。
振り切ったつもりだったが、立て膝で座っていたロックオンの前にアレルヤが屈んで唇を重ね合わせて
くると、ドクン、と心臓が跳ね上がった。

ロ『ぅ、っん…ん‥‥』

熱い。絡め合った舌や、触れあった肌が、熱い。
鼓動が頭の中から聞こえてくる。

ア『まずは貴方を気持ちよくさせて、それで僕を感じやすくなってもらわないといけないんです』
ロ『わかった…。あの、さ、アレルヤ…。全部任せるから、そういうの、一々言わなくていいから…』
ア『でも…』
ロ『俺がしなきゃいけないことだけ言ってくれ!手順とかこれから何をするだとか、言わなくていいか
  ら!』
ア『恥ずかしいの?』
ロ『!! そうだよ!当たり前だ!』
ア『恥ずかしさも、興奮を増す材料になるって、書いてありました』
ロ『おまっ、!!』
ア『少し、熱いですね…?』

スルリと肌を撫で、アレルヤの小さな手がロックオンの着物をはだけさせていく。首筋に唇を寄せ、
ちゅっと吸い付いた。

ロ『んっ、…!』
ア『わかりました。なるべく喋らないようにしますね。その代わり、ちゃんと感じてください』
ロ『わかっ、ひぁっ…!?』

アレルヤはキスを落としながらロックオンの小さな乳首に舌を沿わせたのだ。ちゅくちゅくと胸元でア
レルヤの舌がほんのり桃色の肌を玩んでいる。初めての感覚にロックオンはビクビクと震えた。
アレルヤは上目でロックオンの表情を窺いながら、より感じそうな場所へ舌を動かす。
ロックオンは幼い子供にそんな行為をさせていることに罪悪感と背徳感を感じて、それが余計に下腹部
への熱を増すことになる。
アレルヤは舌を這わせ、手を這わせながらロックオンの着物を床に落とした。下肢に纏った物も丁寧に
脱がせていく。
月明かりに下衣一枚になったロックオンの透けるような肌が映った。少年は外気に触れ、ふるりと体を
震わせる。

ロ『おい、アレルヤ…』
ア『なんですか…?』
ロ『俺ばっか裸にしないで、お前も脱げよ…っ』

アレルヤは一枚も服を脱いではいない。その相対する恰好が余計にロックオンの羞恥心を煽った。

ア『じゃあ、ロックオンが僕のを脱がせてみてください…』

そう言ってアレルヤは唇を重ねてくる。ロックオンは指先の感覚だけでアレルヤの服のボタンを外して
いった。
重ね合わせた唇の隙間から舌を絡ませる水音と小さな喘ぎ声が漏れる。
服を脱がせ、触れたアレルヤの肌もまた熱かった。けれど、ロックオンよりもさらに華奢な躯に羞恥が
増す。
アレルヤはロックオンを壁にもたれさせて、自分はそのままロックオンの下腹部へ頭を移動させる。

ロ『アレルヤ、おま、何するつもり…っ!』
ア『言ったでしょう?先に貴方を気持ちよくさせてあげます』
ロ『待っ、アレルヤ…ぁっ』

ロックオンのゆるく起ち上がったものをアレルヤの小さな口が包み込む。そのなんとも言えない感覚に
ロックオンの快感が背筋を這う。

ロ『は、ぁっ、ぁっ…!アレルヤ…よせっ…』

アレルヤは無言のまま、丁寧にそれを舐めていく。先走りを舌に絡め、熱心に舐めていく様はロックオ
ンには強すぎる刺激だ。見ていられなくてギュッと目を瞑ったら、余計に感覚が敏感になってしまった。
耐えられなくてアレルヤの頭を引き剥がそうとしたが、意志に反して押さえつけるように力を込める。
限界が近い。理性ではアレルヤに止めさせようとしているのに、本能は更に強い刺激を求めた。
それを察したアレルヤは最後の一押しをかける。先端を強く舌の先で刺激し、全体を吸い上げた。

ロ『っ、や、あぁぁぁぁっ…!!』

勢いよく吐き出された白濁としたものを飲み込まず、口の中に溜めておきながら、全て受け止めたのを
確認すると小さく口を開いて自分の指に絡ませた。

ロ『アレ…ルヤ、なに、して…?』

息を切らしながら自分を見つめてくるロックオンに微笑みかけ、「大丈夫ですよ」と言ってゆっくりと
ロックオンの躯を床に押し倒した。

ア『滑りをよくするのに使うんです。あの…その、僕のじゃ、たぶん、足りないから…』

ロックオンは、アレルヤが何を言っているのか一瞬理解できなかったが、理解できてみると、それは自
分がまだ性的に未熟な相手とそういう行為をしているのだ自覚させられてしまい、更なる罪悪感に苛ま
れた。
アレルヤの指はロックオンの躯の奥まった場所へと伸ばされる。ロックオンの精液を纏った指がつつっ
とその周りを撫でた。

ア『ロックオン、ここからが本番です。僕の言うこと、聞いていてくださいね…?』
ロ『アレルヤ…』
ア『大丈夫、傷つけたりしません。まずは体の力を抜いて…』

にゅるりとロックオンの躯の中にアレルヤの指が侵入してくる。ゆっくりと馴染ませるように動くそれ
は、不安と恐怖に身を固くしているロックオンを躯の内側から快楽によって弛緩させていくような作業
だった。
程なくして、アレルヤの指の先端が、ある場所を掠めた。その瞬間、ロックオンの躯が弓なりに反る。

ロ『ひ、やっ、アァッ…そこ…っ!』

ロックオンの声にアレルヤは小さく頷いた。仰向けに寝たロックオンの中心はまたゆるゆると起ち上が
ってきている。

ア『ロックオン…息を吐いて…。ゆっくり…そうです…』

際まで出されたアレルヤの指が、今度は二本に増えて挿入される。ロックオンは喘ぐように声を上げた。

ア『三本に増やします。もう少し慣らさせてください』
ロ『あれるや…っ』

もう既に舌がまわらない。アレルヤの言うとおりに息をするだけで精一杯だ。
ぞわぞわと背筋を快楽が抜けていき、頭の中を麻痺させる。躯が勝手にアレルヤを求めた。
三本の指で十分に慣らし、絡み付いてくる内壁から指を引き抜いた。
虚空を見つめて喘いでいたロックオンは、体内の圧迫感がなくなった違和感にアレルヤを見る。少年は
自らの下衣から性器を取り出したところだった。
確かに、初めは幼いものだった。けれど立派に起ち上がったそれは十分に男の形をしていて、ロックオ
ンはひくっと喉を引きつらせた。

ア『いいですか、ロックオン。ゆっくり、入れますね』
ロ『アレル…っ、ひんっ、やッ‥‥無、理…ィッ』
ア『初めだけです。あと少し入れられれば楽になりますから…っ』
ロ『あと少しって…ァァッ、どんくらい、だよ…ッ』
ア『ほんとに、あと少し‥‥‥ほら、入った…!』
ロ『ん…っ、ふぅっ、ぁ…あつ、い…。どくんどくんいってる…っ』
ア『ロックオンも、きゅうきゅう締め付けてきて…っ、くっ…!』

ロックオンの腰を掴んだまましばらくそうしていたが、やがてゆっくりとアレルヤは腰を前後に揺らし
始めた。

ロ『ぁっ、ァッ、あれる、や…っ!』
ア『ロックオン…僕の声を聴いて…』

アレルヤは上体を倒し、ロックオンの躯に覆い被さる。

ロ『ん、ぅん…ッ』
ア『僕のこと、感じて…』

際まで引き抜き、奥まで挿入れる。その律動を繰り返し、唇はロックオンの弛緩して開いた口に寄せら
れた。

ロ『んん、ぅ…アレルヤ…っん…!』
ア『ロックオン…』

ロックオンの甘い声にくらくらしながら、アレルヤは舌を絡ませる。
唇から、深く繋がり合った場所から、くちゅくちゅと水音が響いている。

ア『ロックオン…、僕を、感じて、ますか…っ?』

ロックオンは目尻に涙を浮かべながら何度も首を縦に振る。

ロ『も、駄目だ…ッ!頭が、おかしくなりそう…っ!!』
ア『もう少しです…っ。僕の声に集中して…っ』

ロックオンの白い華奢な腕がアレルヤの小さな背中にしがみついてきた。このまま焦らしていたら肩に
噛みつかれるかもしれない。

ア『ロックオン、僕と一つになって。僕の声、聞こえてるでしょう?僕のこと、感じてるでしょう?』
ロ『ぁ、あぁ…』
ア『もうどこからどこまでが貴方と僕なのか、わからないくらい…』
ロ『、あれるや…ぁ‥‥アレルヤぁっ…!!』

律動が激しくなる。ロックオンはいやいやと頭を振った。

ロ『も、無理ぃ…ッ!!アレルヤ、もう駄目!俺、どうにかなっちまう…躯が熱くて、溶けそうっ!!』
ア『溶けて、僕と一つになるんです…っ!ロックオン、熱に身を任せて、その熱を全部受け止めて…っ!!』
ロ『アレルヤぁっ!!』
ア『ロックオン…っ!!』

アレルヤはロックオンの中を深く穿つと同時に唇を塞いだ。悲鳴が口の中に響く。
互いの腹の間でロックオンは弾け、彼の体内にはアレルヤの性と共に“気”が流れ込む。
ロックオンは強い快楽と熱い“気”の流れに翻弄され、気を失いそうになる。

やがて唇を離したアレルヤは、ゆっくりとロックオンの中から己を引き抜いた。ロックオンの躯がビク、
と震える。
初めての性行為と、体力と通じている“気”の力を他人に渡したことでアレルヤはひどく消耗していた
が、それ以上に、本来ならばそうは作られていない躯に他人と“気”を受け入れたロックオンの疲労の
ほうが大きく見えた。

ア『ロック、オン…?』

アレルヤが手を伸ばし、ロックオンの頬に触れると、彼の翡翠色の瞳が薄く開かれた瞼からぼんやりと
こちらを眺めてきた。

ア『大丈夫ですか…?どこも痛くない?』

声を出すのも辛いのか、ロックオンは小さく頷く。けれどその顔が微笑んでいたので、アレルヤは取り
敢えず安心した。
脱がせた服を引き寄せて、ひとまずロックオンの肌にかける。

ア『後始末は僕がしておきます。ロックオンは眠ってください』

アレルヤはロックオンの額に張り付いた前髪をどけ、そこに優しく口づけを落とした。

ア『術は成功ですよ…。貴方から、僕の“気”を感じる』

ロックオンの唇が「そうか…」と動いた。

ア『さぁ、ゆっくり休んでください。そして明日、気が付いたら要塞を抜け、西へ向かってください。
  術の効果は日を追うごとに弱くなる。僕の“気”がなくなる前に旅立ってください。いいですね?』
ロ『アレルヤ‥‥』

ロックオンの手がアレルヤの頭を撫でる。

ロ『ありがとう…な‥‥?』
ア『‥‥‥‥‥どういたしまして……』

そうしてロックオンは気を失うように深い眠りについた。
アレルヤは躯にかかった精液を綺麗に拭い、衣服も元通りにしてから、彼の荷物もすべてまとめた。
ロックオンの荷物を膝に抱え、足りない物はないか確かめていく。その視界が涙で歪んだ。

別れたくなくなってしまった。
好きになってしまった。
初めは兄のようだと思っていた人が、今では愛しくてたまらない。
躯を重ねたからではない。もっと深い、心の部分で彼を好きになった。
まだ自分が幼いからだろうか。母親や父親の愛情を知らないからだろうか。
だとしても、ロックオンと離れたくない気持ちに偽りはない。
アレルヤは唇を噛みしめ、漏れそうになる嗚咽を飲み込んだ。

ア『駄目だよ…我慢しなきゃ…!ロックオンは此処にいられないんだ…。彼には、やらなきゃいけない
  ことがあるんだから…!!』

そう言い聞かせる。しかし涙は止まらない。
何度も何度も同じ言葉を繰り返し、夜が明け、窓から朝日が差し込んできた頃にようやく涙は止まった。
目がヒリヒリ痛い。
朝食の時間には食堂に行かなければならない。その拘束がアレルヤの涙を強制的に止めたのだろう。

ア『ロックオン‥‥、さようなら。気を、つけて‥‥っ!』

アレルヤは逃げるように要塞へ戻っていった。残されたロックオンの荷物の脇には、涙の跡が残ってい
た。





その日の深夜。
アレルヤはついいつもの通り食事を多めにくすねてしまったので、門の二階から森の動物へ投げてやろ
うと、昨夜まではロックオンの為に上っていた階段は憂鬱な足取りで上がっていた。

ロ『遅かったな、アレルヤ。ったく、腹減って死ぬかと思ったぜ』
ア『ロ、ロックオン!?どうして!?もう西へ行ったんじゃ‥‥!!』
ロ『んー?まぁ、あれだ。もうちょっと、アレルヤと一緒にいたくてな…。どうせ迂回路を使うより早
  く向こう側へ行けるんだ。一週間や二週間の寄り道くらい、どうってことないだろ』
ア『ロックオン!!』
ロ『痛っ!いきなり抱きつくな!!』
ア『ご、ごめんなさい!!どこか怪我したんですか!?』
ロ『怪我じゃねぇよ…。ただ、なんか、腰が‥‥』

顔を赤くしながらごにょごにょと声を小さくするロックオンに、その原因に思い当たったアレルヤは同
じように赤面する。

ロ『ばっ!お前まで赤くなんな!余計に恥ずかしいだろ!!』
ア『だ、だってロックオンが…!!あ‥‥』
ロ『なんだ?どうした』
ア『あの、ロックオン‥‥。もうしばらく此処にいるってことは、その間に僕が貴方に渡した“気”の
  力は弱まってしまうわけで、その‥‥』
ロ『わかってるよ‥‥。あの、な、アレルヤ…。俺が残った理由、そういうことでもあるんだけど…察
  してくんないか…?』
ア『っっっ!!』
ロ『今度は、もっとムードのある方法で俺を抱いてくれ』
ア『っ、はい…!』
ロ『返事いいなぁ。お前ってホント真面目ね』
ア『ありがとうございます』
ロ『だから褒めてないって』




それから一ヶ月もの間、ロックオンは要塞の門の二階に留まり、アレルヤとの逢瀬に心を休めていた。
その間、何度も躯を重ね合い、互いを確かめ合った。

けれど、その唇から愛の言葉を紡ぐことはなかった。

別れの日。
アレルヤとロックオンは要塞の西側の出口で最後の別れの言葉を交わした。

ロ『長いこと世話になっちまったな』
ア『いえ、楽しかったです』
ロ『アレルヤがおっきくなった姿、見たかったけど…』
ア『僕らは成長が止まってますから。それに、ロックオンにはやらなきゃいけないことがあるんでしょ
  う?弟さんを助けるために』
ロ『あぁ…』

ロックオンはアレルヤの頭を撫でる。

ロ『無理すんなよ』
ア『ロックオンも、気をつけて』

アレルヤの穏やかな声に表情を歪ませるロックオン。それは別れを悲しむ表情。
アレルヤは背伸びをしてロックオンの肩に手を乗せる。そして深く唇を塞いだ。

ア『好きです、ロックオン。僕は此処を出られない…離れられないから貴方についていくことはできな
  いけれど、貴方のこと決して忘れませんから』
ロ『アレルヤ‥‥』
ア『僕はまだ子どもだけど、でも、ロックオン‥‥僕は貴方が好きだ』
ロ『アレルヤ…っ!』

ロックオンはアレルヤの体を強く抱きしめた。アレルヤもそれに応えてロックオンの背中に手をまわす。
ずいぶん長い時間そうしていた。
やがてふたりは短いキスを交わし、ロックオンは要塞の外に出る。

ロ『ありがとう、アレルヤ。元気でな』
ア『ロックオン…っ』

さようなら、元気で。と、言葉を返さなければならないのに、アレルヤには何故かできなかった。
また会いたい。だから、さようならとは言えない。

ロックオンの姿が岩陰に隠れて見えなくなる。アレルヤは足が震えて、その場に座り込んで泣いてしま
いそうになるのを必死に堪えた。せめて部屋まで戻らなければ、ロックオンを通したことがみんなにバ
レてしまう。



部屋に戻ったアレルヤはベッドのシーツを頭まで被り、大声で泣いた。



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回想編なので台詞はすべて『』でお送りしました。
やっぱりお別れシーンは悲しいですね。早く会えるといいなアレニル…!
まぁ、初恋は清き交際ではなかったわけですが(シリアスぶちこわし)
純粋アレルヤはいいですね。可愛いし、天然で攻めだし、でもかっこいい時もあったりして。

さて、早く会えるといいねと言っておきながら次回はニールとの再会が待ってますよ(笑)
番外編はニールをどうやって要塞の先へ行かせたか気になったみんなに脅されるアレルヤの話です。

2009/02/25

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