さぁ眠り姫に口づけを 「エーカー上級大尉!!ハッチの解錠、終了いたしました!!」 整備士の声に頷いてコックピットのハッチまで上がっていく。 カタギリはと言えば、早速ガンダムの装備に訳のわからないコードを繋いで、更に訳のわからない 用語を叫びながらデータ収集に没頭していた。 パイロットスーツのヘルメットだけ脱いだ状態で、コックピットの前に立つ。 「開けてくれ」 「はいっ!」 ゆっくりとハッチが開くにつれて、ドクンドクンと胸の鼓動の高鳴りも大きくなっていく。 コックピットの中はまったくと言っていいほど傷ついていなかった。カスタムフラッグの大破を覚 悟して突っ込んだ甲斐があったというものだ。 コックピットには緑色のパイロットスーツを着た人物がぐったりとシートにもたれ、気を失ってい た。 「あっ、大尉!!」 整備士の制止を無視し、むしろ一旦離れるように指示して、私はコックピットに踏み込んだ。 基本的な作りは似ているようだが、見たことのない計器がいくつかあった。狙撃用のスコープもあ るようだ。そちらに手を伸ばしかけて、ふとパイロットの方に目が向く。 コックピットを探索するにはパイロットが邪魔だった。運ばせるように指示を出そうとして止める。 「ガンダムのパイロット。眠り姫がどれほどの美女なのか、一番最初に見させてもらおうか」 パイロットスーツとヘルメットの繋ぎ目に指を沿わせ、カチリ、という音と共に接続部分を外した。 ヘルメットを脱がせてみて、思わず絶句する。 透き通るような雪花石膏の肌。 肩にかかった茶色の髪は汗ばんでいたが、野郎のような汗くささよりも、むしろ薫り立つ色気を増 して感じさせる。 「まさに‥‥眠り姫じゃないか‥‥」 まるで天使に胸を矢で射抜かれたような衝撃から、呟いた声が思わず震える。 うつ向いた顔を頬に手を添えて優しく上向かせると薄く開かれた唇が尚のこと欲情させてくれる。 「姫というより、女神と称したほうがよろしかったかな」 クセのある髪に指を絡めて、それに軽くキスを落とすと、姫の唇が震えながら言葉を紡いだ。 「――…ア‥‥ルヤ‥‥。‥‥アレル、ヤ‥‥」 思ったよりも低い、しかし外見によく合った声が、掠れながらも誰かの名前を呼ぶ。 「それは一緒にいたフィアンセの名前かね?」 私の声にぴくりと瞼を震わせて、そしてゆっくりと瞼の下に隠されていた翡翠色の瞳で私を見る。 「っ!!」 「おっと」 銃を取ろうと右手をシートの裏に寄せたが、私は男にしては細すぎるその手首をいとも簡単に捕ら えた。 「っ‥‥殺せよ…っ!!」 「綺麗な顔をして恐ろしいことを言う」 翡翠の瞳で睨みつけられても、ヴィーナスに魅惑をかけられたとしか思えない。 「顔は生まれつきだ!!殺さないなら拷問でもなんでも、好きにすればいい!!」 「本当に、好きにしてよいのだね?ならば‥‥」 「っ!?‥‥んんっ、んふっ‥‥何す「私の恋人になりなさい」 「んなっ!?」 彼は目を見開いて私を見上げた。 アポロンさえ嫉妬するであろう笑みを浮かべて告げる。 「一目惚れしてしまったのだよ。ガンダムというイバラの城に眠るお姫様にね」 ――さぁ、ガンダム共々、私の物になりなさい。 ブスッ!(なんかの薬が入った注射がグラハムに刺さった音) 「サセルカ!バカ!ロックオン!アレルヤ!コイビト!コイビト!ハロ!アイボウ!アイボウ!」 「ハロぉぉぉ!!(泣)」 「A…I、だと…!?」 「えいっ!!」 「オチロ!」 ゲシッ!!×2 コックピットの外に蹴り出されるグラハム。 発進するデュナメス。 「助かった!!逃げるぞ、ハロ!!」 「リョウカイ!リョウカイ!」 飛び去るデュナメスに向けて、グラハム、 「待ってくれ!せっかく追い求めてきたガンダムと、私の胸を射抜いた姫にやっと出会えたという のに‥‥!ていうか、彼氏がいるのかぁぁぁぁぁ!!(号泣)」 「グラハム、君ねぇ、何やってんだよ…(汗)」 「「大尉ぃ‥‥」」 「必ずや今カレと別れさせ、私の恋人にしてみせる!!私は諦めないからな眠り姫ぇぇぇ!!!!」 (太平洋上空) 「どうしようハロ…。俺、敵のパイロット(変態)にキスされちまった。アレルヤなら許してくれる かもしれないけど、ハレルヤは怒るよなぁ?」 「キチクプレイ!キチクプレイ!」 「嫌だぁぁっ!!(泣)」 ------------------------------------------------------------------------------------------- むしろアレルヤがキチクプレi(殴) 途中からギャグ調。ロックオンの「えいっ!!」が可愛いですよねww キュリオス鹵獲編と連動してます。その後のオチ(?)↓ 2008/01/22 |