Lacrimosa〜lie-5



電気は点けないほうがよかったが、そうすると小さな窓一つしかない部屋は真っ暗で何も見えなく
なる。アレルヤはスタンドのライトを一番小さな出力にして点けた。ぼんやりとした灯りが部屋を
満たす。

「アレルヤ‥‥」
「っ、はい…っ」

俺が声をかけるとライトを点けたまま立ち尽くしていたアレルヤがびくりと肩を震わせた。緊張し
てるのか。
ドキドキとうるさい心臓の音を聞かないようにして、俺はアレルヤのベッドに座って手招きした。

「、‥‥っ―――」
「!!〜〜〜!‥‥…――」

腰を浮かせてアレルヤを捕まえると唇を奪った。初めは驚いたアレルヤが段々落ち着きを取り戻し
て、口づけをしたまま俺をベッドに押し倒した。

「っ、ふ‥‥。アレルヤ…」

唇を離したアレルヤの肩を押し返して体を起こさせると、俺も上半身を起こして二人でベッドの上
に座る。俺は顔を逸らしたまま告げた。

「アレルヤ、お前さ‥‥。お前のファーストキスで俺が感じてたって、知ってた?」
「!?い、いいえ!!すいません!!」

――何故謝る。

「お前、巧いんだよ、キス。だから‥‥信じらんね。俺が、初めてだ、って‥‥!?」

アレルヤの顔が近づいてきたと思ってそちらを向けばもう一度キスされた。
初めは表面だけを啄んでいた唇が、歯列を割って舌を差し込んできた。一度舌を絡めて、数回上の
壁を掠める。そして名残惜しそうにチュッと音を鳴らして離れていく。
それはアレルヤが初めて俺にしたキスと同じやり方。

「――…感じた?」

言われて、下腹部に熱が集まりつつあるのを意識して焦る。――俺が先に感じてどうする!!

「一生懸命だったんです。つまんないキスをして次を拒まれたくなかったから」

むしろ次はどんだけ感じさせるのかと恐れていたとは言うまい。

「で、うまい具合に人の性感帯を掠めていった訳か…」
「え!?口の中にそんなものあるんですか!?」

――知ってろよ…。いや、俺もアレルヤに触れられて漸くその存在を信じたんだけど‥‥自分じゃ
  感じないし…。

知らなかった、と自分の口を押さえて感慨に耽るアレルヤの耳を引っ張ってこちらを向かせる。

「いたたたっ!!」
「訊くけど。お前、今まで誰とも寝たことないんだったら処理はやっぱり自分でしてただけなのか?」
「しょ、処理‥‥??」

あまり雰囲気を壊したくなかったがアレルヤが初心者ならどれほどの初心者なのか見極めておかな
くてはいけない。なにしろ俺がアレルヤの初めての人になるのだから、責任は重大だ。別れるつも
りはコンマ1ミリもなくても正しいセックスの快楽を教えてやらなくてはならない―――男同士と
いう時点で“正しい”の欠片もないことはこの際気づかなかったことにする。
気を削がないようにアレルヤの首筋に顔を埋めながら「そうだよ」と続ける。

「お前だって俺とキスして何回か感じてたじゃないか。あの時とか、ポルノとか見たことあるだろ?
 興奮したんじゃないのか?」
「お、おさまるまで部屋とか誰も来ない所でじっとしてましたっ。ポ‥‥そういうのは縁がありま
 せんでしたからっ…!」

アレルヤの生まれを幾分知っていればエロ本の類いと関わりがまったくないのは理解できたが‥‥

自分で抜いたこともないのか!?

失礼だと思ったが、アレルヤの肩に額を乗せてガクリと脱力する。一瞬、今晩はアレルヤと躯を重
ねることを諦めかける。

「ロ、ニール…ごめんなさい」

しかし、アレルヤの泣きそうな声を聞いて俺は頭を上げた。やっぱり駄目だ。せめてアレルヤがこ
の種の快楽にどの程度耐性があるのかわかるまでは希望(?)は捨てちゃいけない。

「ん…謝るな。それから、最中は呼び直すの禁止。“ロックオン”でいい」

本当は事が済んだ後も“ロックオン”のままがいいと言いたかったが今は止めておく。
アレルヤの耳たぶを甘噛みして刺激を与える。同時にシャツの下に手を忍ばせて素肌をまさぐった。

「ぁっ、は、い‥‥っ」



それから俺はアレルヤに対して―――アレルヤの性器に対して、狙撃手を辞めた今でも手入れを怠
らない指先や手の平で愛撫を施した。時々羞恥からか制止の声があがるが、俺は止めなかった。ア
レルヤに挿入れるにしろ挿入れられるにしろ、達した時のあの快楽は初めてのアレルヤにはきっと
強い筈。初めに馴らしておいてやらなければいけない。

「ロックオン‥‥なんで、僕、だけ…っ!?」
「言っただろ?俺が全部教えてやる、って」

俺は今、アレルヤの背後にまわって、アレルヤの身体を支えながら手を動かしていた。アレルヤの
顔の横から覗き込むようにして。

「ん…僕は、“貴方を”教えてください、と…!」
「知りたかったら、早く吐き出せ。耐えてんじゃねぇよ」

こちとらお前のキスのおかげでソレスタルビーイングにいた間に自慰の腕が上がってしまってひど
く悲しくなったのだと、こうして巧妙に絶頂へ導こうとしている手の動きから察してほしいものだ。

「アレルヤ‥‥」

熱のこもった声でアレルヤを呼ぶと、アレルヤは俺を振り返り、一言「教えてください」と告げて
唇を重ねてきた。それで覚悟を決めて欲を吐き出すのかと思ったらそうではないようで。首を傾げ
かけて、漸くアレルヤの言葉の意味を理解した。
俺はアレルヤの口腔内に深く舌を差し込む。

「(ここだよ)」

れろん、と俺がアレルヤの舌に触れられて感じる場所と同じ場所を舐めてやった。

「っ、っ‥‥!!」

アレルヤの躯が快楽に震え、性器を包んだ手の中にアレルヤの白濁色が吐き出される。その量に、
やはり先にイカせてよかったと思った。

「ぁ、あ…っは‥‥!」
「大丈夫か?」

唇を離して見たアレルヤの瞳は膜が張っていて、意識が朦朧としているのがわかる。

「つ、強い…です、ね‥‥」
「続けられるか?」
「当、然っ…――!」

俺に預けていた自分の躯を起こし、振り返りざま俺の躯を壁に押しつけるアレルヤ。いつの間に取
ったのか、アレルヤは白いタオルで俺の手を拭きながら器用にキスをした。

「貴方が僕にしたように、僕も貴方に触れれば、貴方は感じてくれますか‥‥?」
「さぁ?どうだかな」

俺は一応、同性との行為は初めてだが異性と躯を重ねて愛撫には馴れている自信があったので強気
に返す。年下で初めてのアレルヤに簡単に理性を危うくするとは思えなかった。





十分でその強気は戸惑いに変わる。





「ぁっ、よせっ‥‥っん!!」
「感じてます…?よかった」

――何がいいものか!!
理性はまだ保っていられたが、漏れる声までは抑えきれない。俺が一度しただけでどれだけのテク
ニックを覚えたのか、ていうか正直、俺はここまで上手くない筈だ。

「ァ、アレルヤっ…」
「こういうのもアリですか?」
「あっ…ァっ!?」

そう言うなり、奴は俺の性器に舌を這わせた。ぞくりとした快感が背筋に疾る。俺は動揺して上げ
たつもりの声が嬌声に変わって自分自身に驚いた。

「アリ、なんだ‥‥」

年上の面子に賭けて達するのを堪えていた限界がすぐ目の前にちらつき始める。

「お前…っ、初めて、とか…っ、嘘だろ…っ!?」
「ウソじゃないれふ」
「ばっ、…っ!!」

その状態で話すな、息がかかる。と、言うより先に性器を口に含まれてしまう。
――もう無理かもしんない。

「アレルヤっ、口、離せ…っ」
「やは」
「やだじゃないっ!」

ぐいぐいとアレルヤの髪の毛を引き、腰は逃げるように、太股でアレルヤの頭を挟んでしまいそう
になる。

――こんな威しが効くかわからないけど‥‥!

「アレルヤ」

今はアレルヤにフェラを止めてもらうのが先だった。
アレルヤの視線が俺に向く。

「そっちから顔離してこっちに来ないと、イク時の顔見せてやんない」

なんだこの威し。言いながら自分で意味がわからない。
しかしアレルヤは、くちゅりと俺の先端を刺激して、俺が吐き出す寸前で唇を離すと親指の腹で強
く押さえた。躯を起こして同じ高さに顔を持ってくる。なにコイツ…。

「見たいです。見せてください…」
「お前‥‥変態だったんだ…」

俺の素直な感想に仕返しのつもりか、押さえていた指が解放された。

「ァっ、ァァ、くっ‥‥ぅ!!」

今までに感じたことのない強い快感に頭の中が真っ白になった。ドクン、ドクンという快楽の余韻
が冷静に聞けるようになるまで大分時間を要した。目蓋を開くとアレルヤは大人しく俺の前で座っ
て待っていた。

「ロックオン‥‥僕のこと、嫌いになりました…?」
「な、んで‥‥嫌いになる?」
「だって!‥‥だって、僕、何もわからないから真似しかできないし…、今のもロックオン、嫌そ
 うだった‥‥」

まるで調子に乗りすぎておいたをしてしまい、主人に怒られるのを待つ犬のよう。

「――…お前次第」
「え?」

俺は考えた末に答えた。汗で湿っぽくなった髪を掻き上げて。

「お前次第だよ。俺が、女みたいな声出してよがっても、お前が軽蔑しなければ‥‥」
「しません!!」

アレルヤは頬を紅潮させて断言した。
俺は本当に恥ずかしいと思った。さっきアレルヤにされてあげた自分の声を。俺がアレルヤにした
時はそれなりの、普通の男が漏らす声だったのに、俺はアレルヤを感じまくってやらしい声ばかり
上げて‥‥――アレルヤがどう思ったのか知りたい…。

「本当か…?俺が気持ち悪くない?」
「なんで!?すごくよかったです」
「俺は何もしてない‥‥」

アレルヤはそれまでの幼い表情から一変させて男前な顔つきになる。ヤバい。惚れ直しそう…。

「よかったです、貴方の声、表情、全部…」

まただ…。電話の時と同じ。めちゃくちゃかっこよくて、耳がぞわぞわする。ドキドキする。

「もっと見せて、って言ったら…怒りますか?」

顔が近い。キスも上手くて、俺を落とすのも上手くて、もう全部上手すぎるアレルヤの唇が囁く。

「ロックオン‥‥」

俺も相当、顔紅いんだろうな。
ギリギリで唇や鼻先が触れ合わない距離。熱い吐息を漏らして俺はOKの合図。

「――…続き、するか?」

アレルヤの頬が緩む。俺はうつ伏せに押し倒され、アレルヤは俺の躯の上に重なってきた。その高
い体温にもっと躯全体を抱きしめてほしいと思ってしまう。
そうしてアレルヤの温もりに身を委ねていたのはものの一分かそれ未満。
アレルヤの指が探るように双丘を割って蕾のまわりに触れて、俺はうっとりと閉じかけていた目を
パッと開く。

「待っ、‥‥ひ、んっ…!」

いつの間に濡らしたのか―――きっと俺の吐き出した精液を拭かないでいたんだ―――にゅるりと
アレルヤの指が俺の体内に入ってきた。

「初めに慣らすんですよね?」

聞くな!ていうか俺はお前の初心者宣言が本当に信じられなくなってきたぞ!!
挿入とは逆の役割しかしたことのない場所は、俺自身驚くほどスムーズにアレルヤの指を呑み込ん
だ。進度はゆっくりであったけれど、アレルヤが「力を抜いて」と言って空いている方の手で俺の
手を擦ると、何故かアレルヤの指を受け入れやすくなる。―――力を抜く度に漏らす息に喘ぎ声が
混ざるのは恥ずかしかったけれど。

「一本入りましたよ。動かしますね」
「ァ…、っん…い、いちいち、言わな、ぁッ…言わな…でも…い、い…ッ!!」

結構奥まで入っているらしい。話は聞いたことあるけど、まさか本当に後ろから攻められて感じる
とは思わなかった。

「ん‥‥苦しいの?それとも、気持ちいいんですか…?」

カリ、とアレルヤの指がイイとこを引っ掻いた。

「ァァァッ‥‥!」

枕に伏せていた頭が離れて、喉を反らして鳴いてしまった。女みてー…。

「ロックオン‥‥前もすごい…」

さっきまで俺の手を握っていたアレルヤの右手が俺の性器に触れた。躯が勝手に跳ねてしまうほど
そこは敏感に、立派に起立していた。

「とろとろ‥‥。でもこれってアレとは違うんですよね。だけど、僕の指は感じてくれてる…。も
 しかしてロックオン、感じやすい躯なの?」
「ば、っか…!お前、俺の、耳まで…っ、犯す気か!?」

上半身を捻ってアレルヤを睨みつける。けれども奴はニコリと微笑んで「すいません」と言う。反
省の色がない。

「もう少し馴らさないと、ですよね」
「ぁぁぁ…!」

アレルヤの指の二本目が体内に入ってくる。少し痛い。枕の端を力いっぱい握り締めた。

「痛かったですか?ごめんなさい…」
「ぁ…は‥‥だい、じょぶ」

起こしていた躯を再び重ねて謝るアレルヤに、俺は枕を握っていた手を離して頭を撫でてやる。痛
みよりもどうにかしてほしい熱があるのを気づいてくれ。

「今度は急がないから」

慎重に指を動かされて、アレルヤの心遣いは嬉しいけど前への刺激がないことがもどかしい。
アレルヤがやり易いように少しだけ浮かせていた腰を下ろすと、シーツに擦れてそのもどかしさが
薄れた。恍惚と漏らした声にアレルヤが不安そうに「ロックオン?」と呼ぶ。

「ん、悪い‥‥」

再び腰を浮かせるとアレルヤの右手がそろりそろりと横腹を撫でて下腹部に近づいてきた。

「こっちも弄ってほしいの?」

俺に全体重をかけることを避けたアレルヤは上半身を起こして問うてくる。その遠慮気味な姿勢と
は逆に奴の両手は俺の感じる所を積極的に攻め始めた。

「ぁ…ァァッ‥‥は、ア、アレル‥‥っ!!」
「ほったらかしにしてすいません」

謝んな!くそっ…!

「淫乱で‥‥悪かった、な!!」

ちょっとした動作で結果的には誘ってしまった前への愛撫だが、触れていられると興奮は昂る一方
だし、なるべく力を入れないようにしていた後ろだってヒクヒクとアレルヤの指を締めつけてしま
う。

「お前だけ…なんだ、からなっ…。こんな風にぃっ…ぁァッ、なる…のは…っ!」

ズルりと蕾から指を抜いて、脇に手をついたアレルヤは俺の項に熱い舌を這わせてキスを落として
きた。きつく吸われて跡を残されたのだとわかる。

「ふ‥‥っぅん…」
「嬉しいです…」

俺はあんま嬉しくないけど。リードしてやるつもりがいいように鳴かされて恥ずかしい限りだ。

「…増やします」

一度俺の先走りを絡めて滑りをよくした指が順に三本、俺の中に挿入れられる。バラバラに動かさ
れて、頭の中の理性もアレルヤの指を呑み込んだ内壁もめちゃくちゃで何もわからなくなってくる。

「ぅ、ぅぅっ…ふ、ぅっ‥‥ウソつき、ぃ…っ!」

絶対に初心者なんて嘘だ。俺以外に誰と寝たんだこのヤロウ。

「何がウソなんですか…。それよりロックオン、もう少し力を抜いて」
「でき、ねぇ…よ!おま…誰に、こんな、やり方…っ、習ったん、だよ…っ!」
「誰にも習ってませんよ。言ったでしょう?全部貴方が初めてです」

言葉は素っ気なかったが顔だけ振り向いて見たアレルヤの表情は少し悲しそうだった。

「アレル‥‥」
「解れてきたかな…。ねぇロックオン、次は‥‥」

まるで初めてだということを主張するように次にすることを尋ねてくる。今までスムーズに行為を
進めてきたというのに。質問と偽って許可を求めているのかもしれない。
前と後ろの刺激を止めて俺が答え易いように待つアレルヤ。

「――…れろよ」
「なに?」

羞恥プレイかよ!とツッコミたくなる。枕に顔を突っ伏して叫んだ。

「馴らしたならお前のを挿入れろよっ!」

バカバカバカ!!ドSアレルヤのバカ!!
俺は顔を紅くして心の中で泣いた。

「はい」

アレルヤが微笑んだ声で返事する。俺が反応して締めつけてしまう指を手こずりながら抜き出して、
アレルヤ自身を後ろの蕾に押し当てた。
うぅ…さっきも思ったけど、アレルヤってデカくないか?入るの?俺、ちゃんと受け入れられるの?

「いいですか?」
「ぅ‥‥ちょっと待て」

うつ伏せのほうが男同士では楽だということは知っている。
しかも俺たちは初めてで、男同士のセックスがどれだけの快楽と―――痛みを伴うのかまだ知らな
い。

だけど俺は‥‥

「ロックオン…?」

もぞもぞとアレルヤの下で体勢を変える。うつ伏せから仰向けに。
はしたなく―――それでもやっぱり恥ずかしいから控えめに―――脚を開いて、アレルヤを誘った。

「いいぞ」
「“いいぞ”って…」
「ツラい体勢になるのはわかってる。けど‥‥」

本当は言う立場が逆なのもわかってるけど‥‥

「‥‥わかんないだろ、顔見てないと…。アレルヤがちゃんと、俺が相手でも感じてくれてるのか
 …――」

薄暗い部屋で、アレルヤの顔が真っ赤になるのがわかった。きっと俺も恥ずかしさでは負けてない。

「――…いい、の‥‥?」
「早くしろよっ。せっかく馴らした意味がなくなる…!!」
「うん‥‥」

アレルヤは俺の脚をもっと広げて持ち上げて、優しく内股を撫でてから蕾に自身を押し当てた。

「少し我慢して…」

ズッ、と熱くて硬くて凄い質量のものが入ってくる。

「っ、〜〜っ‥‥!!」

俺の気を紛らせようと胸の突起に触れてくるがそんな微弱な刺激じゃ誤魔化しきれない。

「力を抜いて、ロックオン。あと少しだから…」
「やって、る…!!これいじょ、は‥‥むり…っ!」

アレルヤは困った顔をした。頬を枕に押しつけるように顔を横に向けた俺に、上半身を倒して深く
キスする。性感帯を舐められ、できた隙にアレルヤが全部俺の中に入った。

「これ‥‥アレルヤ、?」
「ロックオンの中、すごくイイです…」
「ばっ…!!」
「動いていいかな」

言うなり、緩くアレルヤが俺のナカを擦りながら前後に腰を揺らす。

「ぁ、ァァッ‥‥アレルヤァっ…」

要領がわかってきたのか、数回試すように際まで引いたり、強く奥を抉ったりすると、あとは俺の
限界の波を追いたてるように前と後ろを攻めまくった。

「アレルヤぁっ、アレルヤ、ァァァッ‥‥!」

痛みもあったが、それ以上に強い快楽に頭の中を真っ白にされて、悲鳴じみたやらしい声でうわ言
のようにアレルヤを呼び続けた。アレルヤも理性の淵で俺を呼ぶ。

「ロックオン‥‥ロックオン、僕、もう‥‥」

早いですけど、と付け加えて、アレルヤは俺の腰を掴んで上半身を倒してきた。しっかりした、男
らしい―――俺とは違う―――筋肉質の背中に俺はすがるように腕をまわす。

「お、く…っ。もっと、奥まで‥‥衝け…っっ」
「くっ…!」

アレルヤの律動が速く小刻みに、そして深くなる。淫乱な内壁の絡みついたアレルヤが更に大きく
なった。

「出、して‥‥いいぞっ…!」
「ぁ、くっ‥‥はァッ…」
「!!ァァあぁァッ‥‥っ」

アレルヤが俺の中で果て、その熱に大きく躯を反らしながら俺自身も俺とアレルヤの躯を濡らして
すべてを吐き出した。
余韻がなくなると急に硬くなった俺の足腰を労るように自身を抜いたアレルヤはそのまま躯を重ね
てくる。

「気持ち悪くないか?」

俺が出した精液が重なった肌の間で滑っている。アレルヤは微笑を浮かべて

「全然」

と答えた。
喉奥が痛い。あと下半身がすごく痛くてダルい。強い快感に頭の中がまだぼぅっとしている。
だけど‥‥

「つっ、‥‥」

アレルヤの背にまわした手でさっき触れていた場所を触れる。やはり引っ掻いてしまっていた。

「悪い。痛かったな」
「大丈夫…。ロックオンの指、綺麗だから‥‥」
「アレルヤ」

頭を浮かせて啄むようにアレルヤにキスする。
もう一つ謝ることがある。

「“嘘つき”って、俺がアレルヤの初めてだって信じなくてごめん。俺が認めたくなかっただけな
 んだ」

少し不安そうに、悲しそうに俺を見ているアレルヤの瞳。俺はすぐ近くにあるそれから顔を背けて
告げた。これで最後になれ恥ずかしすぎる告白大会!

「アレルヤが上手くて、善くて‥‥年上の俺が感じまくって、それでアレルヤが初めてだなんて認
 めたくなかったんだよ…!」

チラリとアレルヤの表情を盗み見ると惚けた顔でこちらを見ていた。

「よかったの…?僕、上手だった?嬉しい!!」
「ぅおっ!!ア、アレルヤ!重いおもい!い、いたたたっ!!めちゃくちゃ腰いてぇ!」

ぎゅうぎゅうと抱きついてくるアレルヤはさっきまでと違っていつものアレルヤみたいに可愛くて。
うん。俺、可愛いアレルヤもかっこいいアレルヤも―――ちょっと変態なアレルヤも―――みんな
好きみたい。




「ロックオン、大好きです!愛しています…っ!」



「俺も。俺もアレルヤが大好き。愛してる」





嘘じゃないぞ。だってもうエイプリルフールは終わってる。



薄暗い部屋にある小さな電波式デジタル時計は四月の二日になっていた。






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さすがにエロは一つにまとめました。これもある意味ひとつの自重方法?
ロックオンは色々と予定が狂ってしまいましたねー(苦笑)取りあえず予定通りなのはアレルヤと寝
ることだけですか(汗)

続いて裏番組のハレライがあったりします。ハレライというかライハレというか…。
ハレルヤ視点です。一部ライル視点。

2008/04/01

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