誰にも言えない秘密の仕事 前編



俺たちは家族を失い、路頭に迷っていたところを、ある仕事にスカウトされた。その仕事を続けて早三
年。来年には俺たちも二十歳だ。
今日はその仕事の日。
双子の兄と一緒に連れて来られたのはマンションの一室。
リビングのような場所で打ち合わせをして、俺と兄のニールはベッドの置かれた部屋に入った。
机や本棚、クローゼット。普通の男子学生の部屋を装ったそこが今日の仕事場だ。



俺たちの仕事はAV俳優。今日はここで、カメラに姿を晒しながら兄さんとヤる。



友達の家に遊びに来て、そこでエロ本を見つけた双子の兄弟が、友達がいなくなった隙に性遊びをする
というシナリオ。簡単に最終確認をして、俺たちは互いのモチベーションを高める。
さぁ、カメラがまわり始めた。



「んじゃ、悪いな!二時間ばっか待っててくれ!バイト終わったらすぐ戻ってくるからよ」

そう言って部屋から出て行く男。確かカメラには足元しか映ってない筈だ。メインは俺たち。彼はただ
のエキストラなのだから。
早速動き出して、ベッドの下を漁る。

「さて、と…」

「おい、何してんだよ」

「決まってるだろ。ベッドの下と言えば‥‥ほら、あった」

ベッドの上に座ったままの兄さんに俺は見つけ出したエロ本を広げて見せた。

「っ、馬鹿…っ!戻しとけよ!!」

あれ?演技にしては兄さんの反応がいい。
けれど中身を見て納得した。

「へぇ…いい趣味してんじゃん」

そこには俺も兄さんも好みのタイプの女性が淫らに腰をくねらせて、誘う目付きでこちらを向いて映っ
ていた。
次のページをめくると、その女性の豊満な胸が伸ばされた手に掴むように揉まれている。
次のページでは服をはだけられ、その次を見れば‥‥。

「兄さん‥‥」

ギッとベッドが軋んだ。俺がベッドに膝を乗せたせいだ。

「アイル‥‥」

チュッと音を立てて俺たちはキスをする。兄さんの手が俺の頬に触れて頭を引き寄せた。更に深い口づ
けを交わす。
カメラマンだけはこの部屋に残っている。だけど、もう人一人の視線なんて慣れた。俺たちは気にせず
に舌を絡め合う。
兄さんの手がスルリと俺の腰を撫でた。シャツの裾から滑り込んできた手に反応する。

「肌が熱いぜ。興奮してるのか?」

「兄さんこそ。ここ、立ってるぜ」

俺はシャツの上から兄の乳首を指でいじってみせた。兄さんは小さく息を詰めて、辛うじて俺を睨みつ
けると、俺のシャツを一気に脱がし始める。柔らかい感触が胸を這った。

「っ、は…兄さん…っ」

「お前ももう感じてるじゃんかよ」

「ん‥‥兄さん、だって…!」

「んー?‥‥んっ、待っ…アイル…ぁっ」

俺も負けじと兄さんの服をはだけさせ、直接刺激を与える。
じんわり潤んだ瞳で見上げる兄さんと俺の目が合った。
俺はベッドに完全に乗り上げて、兄さんと向かい合うように座る。カチャカチャとベルトを外し、キス
を挟みながら下着もろともズボンを床に落とした。
兄さんの手が俺の勃ちきった性器に伸び、俺の手も兄さんのそれに触れる。
今回、カメラは一台だけなのでシックスナインはできない。よがる顔を一緒に枠の中に入れなくてはい
けないのだ。
兄さんの指が二つの亀頭を刺激し、俺は互いの竿を擦り合わせて摩擦させた。

「んッ、ぁっ…兄さっ‥‥んんっ!!」

「アイルっ…!んっ、んぅっ…!!」

イク場面でイケないと仕事にならない。だからどんな刺激にも敏感に反応するよう、兄弟二人してそう
調整してある。

「ん‥‥兄さ、…腰、揺れてる…っ」

俺の手に擦りつけるように兄さんの腰が揺れ始めた。

「は…お前こそ、っ…こんな、濡らして…ッん!」

「言わないで、くれ…よっ!」

トロトロに俺の手まで濡れてるんだから、二人分の先走りでさえかなりの量なんだろう。わざわざ言わ
なくてもわかる。
ま、それがAV用のサービス台詞なのは俺たち二人とも承知の上だ。

「ん‥‥まだ、ぁ?俺もう‥‥っ!!」

「なんだ、っ…。一緒に、イキたいの、か…っ?」

「違っ…、ぁぁっ!!駄目っ!そこ…ッ」

あ‥‥マズイ…。兄さんの指先が鈴口を刺激した途端、理性危なくなってきた。

「一人でイクなよ、っ…!もっと、強く…擦っ‥‥ぁ…っ、ぁぁっ!!」

カメラが寄ってきてる。いいぜ、撮れよ。最っ高の顔でイってやる。
兄さんの腰が強く動き、それに擦られて俺にも絶頂がやってくる。

「リィ、ルっ…!も、無理…、ぃっ…や、ぁぁぁっ!!」

「待って、俺も‥‥!んっ…んんっぁ、やッ…ぁぁっ!!」

「「ぁぁああああ…っ!!」」

二人ともほぼ同時に果て、寸前で離した兄さんの手を掠めながら、白濁としたものはビュルッと勢いよ
く、互いの腹に掛かった。

「ぁ…はぁ、ん‥‥んん…」

「はぁ、はぁ、は‥‥ぁ、んっ」

息を乱しながらなまめかしく、カメラのレンズに見せつけるようにキスをする。わざと赤い舌をちらつ
かせた。

「アイル…足りた‥‥?」

兄さんが俺の耳を舐めながら問いてくる。感じ入ってたくせに演技は忘れない。でもそれは俺もだ。
弟らしく見えるように、甘えたがりの表情を作って弱々しく首を振ってみせた。

「‥‥もっと…。全然足りないよ、リィル…」

腹に掛かった精液を指に絡め、兄さんと俺は抱き合うように体を寄せ合う。そのままベッドに倒れて俺
はクスクスと笑った。

「ヤる?後ろも‥‥」

「時間ならまだある。やろうぜ‥‥」

淫らな表情を浮かべて体を重ねたその時、ギギッと廊下の軋む音がして俺たちはハッとして扉の方を振
り返った。





「はいカット」

カメラマン兼監督の男がカメラの電源を切りながら俺たちに告げた。
収録は終了。つまりAVの内容はここまで。ここから先は視聴者の想像にお任せします、ってことらし
い。
俺と兄さんはベッドから起き上がり、兄さんは軽く髪をかき上げながら「お疲れさまでしたー」といつ
も通りに下着へと手を伸ばした。


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これを書き始めた時の私は何を思ったのやら、思い切ったものを書きましたよね(爆)
確かこの時、内容はほとんど話さずに友人のKDさんにメールで「ニールとライルの偽名っていうか芸名
って何がいいかな?」っていきなり聞いた気がする。で、散々あーじゃないこーじゃないって反論して
結局自分で決めた、みたいな(最悪

あ、でもサーシェス(←ネタバレ)って商売上手いよなーって話はした気がする。
まぁ、その続きは後編で。

2009/09/08

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