西遊記パロ-7




イオリア軍の陣に戻ったソーマたち。傷ついて戻ってきたハレルヤや刹那の姿を見て、陣の守備に残って
いたメンバーはざわめいた。
ソーマとアレルヤは陣に戻り次第、深手の傷を気功術で治癒していく。

門番の男が想定以上に強いという報告を受け、作戦を練り直すことにした。
正面から武力介入をしたとして、門を突破することは可能だろうが、おそらく予想以上に街は占領されて
いることだろう。
そうなった場合、武力を持たない一般の人々を保護しつつ作戦を成功させるというのはかなり難しい。

ということで。
まずは街の中の様子を調査することになった。
潜入するメンバーはなるべく目立たず、且つ、ある程度戦闘力も持った人物がいいだろうということで、
アレルヤ、ハレルヤ、刹那、ヨハン、そしてライルとハロが選ばれた。

ロ「ちょっと待った。なんで俺は駄目でライルならいいんだよ」
ラ「だって俺のほうが人に紛れやすいし」
ロ「俺たち双子だろ!?」
ラ「ニールはフェロモンまき散らしすぎなんだよ」
ロ「フェロモ…っ!?ば、っか言え!!」
ラ「アレルヤと一緒に潜入なんてことになったらもう…」
ハ「あぁ、確かに」
ア「ドンマイ★」
グ「魔性の姫だな」
カ「潜入には不向きだねぇ」
ミ「潜入した先で色目使えば味方増えんじゃね?」
ロ「誰が、いつ、魔性になった!?俺はアバズレてない!!!!」
ヨ「恋をした人間は、知らずうちにそういう空気を醸し出してしまうものだよ」
ラ「俺だって見目で目立つ可能性はあるけどさ、それでもニールよりは目立たないと思うぜ」
ロ「納得できねぇ…!だいたいフェロモンってなんだよ…。俺はそんなもん出してねぇ!!」
ア「でもロックオン…。みんなが言ってるんだし、それに、もう決まっちゃったことだから」
ロ「アレルヤは俺と任務するのが嫌なのか!?そうだよな!俺がいたらどうせアレルヤの足手まといになる
  んだろ!?」
ア「なんでそんなこと言うの!!僕はロックオンのこと足手まといだなんて思ってないよ!!」
ロ「どうだか!!」
ア「むっ…。それ以上言ったら、僕、本気で怒りますよ…!」
ロ「な、なんだよ…」
ア「僕は、あなたのその体を、手を、足を、髪を、瞳を、唇を、声を、全部ぜんぶ全部守ります。だけど、
  それを重荷になんて思ってない。だって僕はあなたを守るけれど、あなたも僕のことを守ってくれる。
  それって、一緒に戦ってるってことでしょう?一緒にいられて、一緒に戦えて、それは僕にとってと
  ても嬉しいことなのに、どうしてそれを否定するようなこと言うの…」
ロ「ア、アレルヤ…」
ア「ロックオン…好きで
ハ「ちょぉぉぉっと待ったぁぁぁぁ!!」

げしっ!!

ア「ぁいたぁっ!!」
ハ「おめぇ、ここにはノーマルな奴やガキもいるってこと忘れんなよ!!ロックオンの誤解を晴らすために
  こっ恥ずかしい長い台詞を見逃してやったが最後のは認めねぇ!!」
ラ「ハレルヤナイスツッコミ!!ニールもニールだ!その『ア、アレルヤ…』がフェロモンばらまいてるっ
  て言うんだ!!」
ロ「うっ‥‥」
カ「じゃあ、そういうことで話は落ち着いたかな」
ソ「あまり落ち着いてはいないと思いますけど…」
カ「潜入は夜だから、それまで刹那くんたちは準備を整えておくといい。なにか手伝えることがあったら
  言ってくれ」
セ「わかった」
ヨ「了解した」

解散して、各々が準備に取りかかる。
アレルヤ、ハレルヤ、ライルはその街へ行ったことがないのでヨハンとティエリアに占領される前の街の
様子を教えてもらい、地図を確認した。
それが終わったアレルヤは出発の前に軽く体を動かしておこうと中庭に出た。
するとそこではロックオンが刹那のぼさぼさになった髪を切りそろえていた。

ロ「ほいできた。あんまぼさぼさの髪でも人目を引いちまうかんな」
セ「すまない。ありがとうロックオン」
ロ「どういたしまして、っと。アレルヤ。ヨハンとティエリアの講義は終わったのか?」
ア「あ、うん。ねぇロックオン、そのハサミ、ちょっと貸してくれませんか?僕も少し髪を切りたい」
ロ「それなら俺が切ってやるよ。ほら、ここに座りな」
ア「いいの?」
ロ「揃えるくらいでいいんだろ?だったら人にやってもらったほうが楽だろうが」
ア「じゃあ、お願いしようかな…」
セ「ロックオン、俺は夜の支度があるから」
ロ「ん。しっかり準備しておけよ」
セ「わかっている」

刹那がいなくなり、椅子に座ったアレルヤの髪をロックオンが手際よく切りそろえていく。
ロックオンの白く細長い指がアレルヤの髪を梳き、シャキン…と切った。

シャキン…シャキン…。

おおよそが済んだ頃、アレルヤは椅子に座ったままロックオンを見上げて言った。

ア「‥‥‥‥‥」
ロ「どうした?あとは切った髪を落とせば終わりだぞ」
ア「うん…。あの、鏡とかありますか?」
ロ「へ?あるけど…」
ア「それじゃ、あの、ハサミ貸してください。それで、悪いんですけど、ちょっと鏡を持っててください」
ロ「え、あぁ、そうだよな。アレルヤの好みもあるもんな。いいぜ。ほら」

座ったままだと足の上に切った髪が落ちてしまうので、上にかぶっていた布を脱ぐ。
ロックオンはなぜこの位置で鏡を持ってしまったのかと少し後悔したが、二人はちょうど鏡を挟んで顔を
向き合わせている形になっていた。
シャキン、シャキン、とアレルヤの動かすハサミの音はするが、ロックオンからはアレルヤがどういう風
に髪を切っているのかはわからない。

ア「―――…うん、こんなもんかな…」

しばらくしてアレルヤの声がする。

ロ「済んだか?」
ア「えぇ、ありがとうございました」
ロ「どういたしま‥‥アレルヤ…?」

鏡を下ろすと、そこには今まで長い前髪で隠していた左右違う色の瞳を晒したアレルヤが微笑んでいた。
それでも多少、右前髪を多く残して金色の瞳を覆っているが、以前のようにまったく見えないというわけ
でもない。

ア「変…ですか?片目を隠していたら目立っちゃうから。目の色はコンタクトでなんとでもなるし…」

照れたように前髪をいじるアレルヤを穴が開きそうなほど見つめるロックオン。アレルヤは恥ずかしくな
ってきて俯いた。
段々と“切らなければよかった”と思い始めたアレルヤは、礼を言って去ろうと足を踏み出しかけた時、
一瞬先にロックオンが動いたので立ち止まる。

ロ「かっこいい…。アレルヤ、かっこいいぜ」

ロックオンの手がアレルヤの右頬をするりと撫で、アレルヤはされるがままにじっとしている。
情事の際にも極力隠されたまま右目に、ロックオンは意味もわからずドキドキする。

ロ「綺麗な色だ…。な、もっと近くで見ていいか…?」
ア「どうぞ…。気の済むまで‥‥」

人に見られるのは嫌だった筈なのに、何故かロックオンになら許せるという気がしていた。
ほかの人にこんなに近くでじろじろ見られたら嫌だと思うだろうに、ロックオンならかまわない。
それはきっと、彼が自分の瞳をじっと見ている間、自分も彼の瞳を見つめることができるからだ。
アレルヤもロックオンの宝石のような澄んだブルーグリーンの瞳が好きだ。
互いが互いの瞳を覗き込み、その色に酔っている。
ロックオンの両手がアレルヤの頬を包み、アレルヤの右手が垂れかかったロックオンの前髪を梳くのと同
時に二人はゆっくりと唇を重ね合わせた。

ロ「このほうがいい…。なんだかすごく、大人っぽく見えるぜ」
ア「そうですか?」
ロ「そうだよ。…あぁ、でも、なんか少しだけ残念だな」
ア「どうして?」
ロ「だって、アレルヤは俺の年下で俺の弟みたいに思ってたのに、どんどん大人っぽくなっちまう」
ア「じゃあ…どうしましょうか。もっと甘えればいい?」
ロ「素直に甘えてこねぇくせに。いいよ、お兄さんが勝手に甘やかすから!」
ハ「つーか既に甘いんだよ、この場が」
ア・ロ「「っ!?ハレルヤ!?」」

突然現れたハレルヤに驚き、咄嗟にくっついていた体を離す二人。
ハレルヤは廊下の窓から肘をついてこちらを見ている。

ハ「ここは中庭でまだ真っ昼間だってのに、おめぇらには恥じらいとか常識ってもんがねぇのかよ。さっ
  きから何人も気まずい表情して歩いてったぜ。ちったぁ場所と時間考えろよ」

ハレルヤに指摘された二人は顔が真っ赤で、彼の言い分も正しいので何も言えない。
ハレルヤはため息をまた大きくつき、窓に手をかけると飛び越えて庭へ降りてきた。

ハ「ふーん…、俺も髪切るか。鏡とハサミ貸してくれ。自分で切るから」

言うなり、ハレルヤはハサミと鏡を取って、椅子に鏡を置き、自分で髪を切り始める。
数分後、アレルヤよりも雑な切り方だったが、ほとんど変わらない髪型で仕上がった。

ハ「どうだ、ロックオン?まぁまぁだろ?」
ロ「う‥‥‥」
ア「どうしたのロックオン?」
ロ「お、お前ら…」
ハ・ア「?」
ロ「おんなじ顔で俺を見るなぁぁ!!」
ハ「はァン?なぁに恥ずかしがってんだよ」
ア「ロックオン、顔真っ赤だよ?可愛いですね」
ロ「うっさい!もう無理!アレルヤの馬鹿!かっこよくなりすぎだ!!」
ア「あ、ありがとう!ごめんなさい!!」
ハ「は…意味わかんね…」



そうして日が暮れ、夜が更けた。
通信端末としてライルがオレンジ色のハロを持ち、潜入班は外套をまとって陣を出発した。
街に着くと、入り口である巨大な門は当然のことながら固く閉ざされていた。しかし幸運なことに外壁の
外には見張りが立っておらず、そびえ立つ壁の前で五人はゆっくりと最終的な確認をすませることができ
た。

ヨ「いいかい?無理は禁物。基本は聞き込みだ。明日のこの時間には戻ってくるように。連絡がなければ
  集まったメンバーで陣へ戻る。刹那は神殿の様子を見てきてくれ。それから私とライルは街の調査だ。
  アレルヤとハレルヤはここを占領している軍の調査を」
ハ「わかった。アレルヤ、わかってるだろうが、怪我してる奴がいても今回は我慢しろよ。いきなり奴隷
  の怪我が治ってたりしたら俺たちの侵入がバレる可能性もあるし、第一、おめぇがぶっ倒れかねねぇ」
ア「わかってるよ…。やむを得ない状況の時以外は治癒術は使わない」
ハ「は…どうだか…」
ラ「刹那ひとりで神殿の調査かよ。大丈夫か?」
セ「問題ない。神殿はおそらく今では一番警戒の厳しい場所だ。神殿へ行ったことがあるのはこの中で俺
  とヨハンだけだし、それに俺の方が潜入には向いている。心配しなくても大丈夫だ。それよりお前こ
  そヨハンの側を離れるなよ」
ラ「わぁかったよ。で?潜入後の打ち合わせはこれでいいとして、肝心の中への侵入はどうするんだ?こ
  れだけ高くちゃロープを引っかけるのも難しいぜ」
ア「あ、それなら僕がなんとかするよ」

アレルヤはそう言うとヨハンからロープを受け取り、壁面を見つめた。

ア「―――…行きます」

その瞬間、アレルヤの足下が光ったように見えた。
アレルヤは高く高く跳躍し、何度か壁面に足をついて加速をつけると一気に壁の上まで上り詰めた。

ラ「す、っげ…」
ハ「こんなん超兵には朝飯前だっつの。よぉヨハン、俺も先に行くぜ。さっさと上って来いよ」
ヨ「あぁ、わかった」

ハレルヤはそう言い残し、アレルヤと同じようにして壁の上へ到着する。アレルヤが結んだロープから少
し離して、ハレルヤももう一本のロープを刹那たちへ向けて下ろす。

ハ「刹那はともかく、ヨハンやライルの奴らは上って来れんのかよ」
ア「秘密兵器があるから大丈夫だって聞いてるよ。それよりハレルヤ、僕ちょっと先に下に降りてていい
  かな」
ハ「あ?どうした」
ア「そこの井戸がある小屋から灯りが漏れてるように見えるんだ。小屋の中にいてもらえれば僕らの侵入には気づかれないだろうけど、念のため僕が先に行って警戒しておくよ」
ハ「わかった。最後に俺が降りてロープを回収してからお前と合流する。それでいいな?」
ア「うん。何か動きがあったら合図するからその時は…」
ハ「散ればいいんだろ?わかってる」
ア「うん、それじゃ…」

アレルヤは机から飛び降りるような気軽さで、高さ十数メートルというほどの壁から足を踏み出した。
落下する速度はぐんぐん増し、けれど地面に激突する瞬前で気を操り、衝撃を緩和し、物音一つ出さず着
地する。
それから小屋のほうへ近づき、角から様子を窺った。

ア「(やっぱり誰かいる。場所から考えて、昼間ハレルヤたちが会ったっていう門番の男の小屋なのかも
  しれないな)」

アレルヤたちが侵入したのは巨大な門からそれほど離れていない場所だ。門から神殿までは基本的に大通
りが続いていたので、門に一番近い建物といえばこの辺りになる。
壁に背をつけ、肩越しに入り口を見張る。
その時、横開きの戸が音を立て、中から誰かが出てくる気配がする。
アレルヤは即座にハレルヤへ視線を向け、気づいたハレルヤは壁の向こうへ一旦隠れる。
小屋から出てきたのはやはり門番をしていた黒髪の兵士だ。ぼろぼろになった兵装の上着を肩にかけ、鎖
をじゃらりと鳴らしながら気怠げに井戸へ歩いてくる。
注意深くその様子を窺っていたアレルヤだったが、ふいに兵士の目がアレルヤのいる方へ向いた。

ア「(まず…っ)」

咄嗟に壁の影に隠れようとしたアレルヤだったが、兵士は何かを叫ぶでもなくただ静かに微笑んでみせた。
それから続いて何かを伝えるように口を動かしている。

ア「(え…なに…?)」

アレルヤは月の明かりと小屋から漏れてくる光を頼りに兵士が言おうとしている言葉を必死に読み取る。

ア「(お…い…?違う…)」

アレルヤから見える兵士の左手が微かに動く。手のひらを上向きにし、曲げる。

ア「(来い、か…!)」

影から出て行こうとしたアレルヤに、今度はくるりと指を回し、井戸を挟んで小屋とは対角線の路地を指
さす。
アレルヤはその指の軌跡を読み取り、大きく迂回して路地の方へまわった。
すると黒髪の兵士は井戸まで歩いてきていて、井戸を挟んで会話できる距離まで近づけた。

マ「まさか今日中に来るとはな…。感心した」
ア「あの、あなた…占領軍の人じゃ…」
マ「占領した軍がわざわざこんな鎖付きの首輪を仲間に着けるか?俺はこの街の人間だ」

そう言って苦笑する顔は男性とは思えないほど整っていて。しかし首輪の擦れた痕が赤黒く、痛ましい。
肩から羽織るだけだった上着には今は袖を通していて、けれど襟からのぞく肌は僅かに汗ばんでみえた。
アレルヤは首輪から視線を外せずにいると、黒髪の兵士が話しかけてきた。

マ「何人が潜入してきたんだ?お前一人ではないだろう?」
ア「あ、えっと…僕を含めて五人です」
マ「五人か…。妥当だな。神殿は警備が厳しい。探索の成果は高望みしないほうがいい。軍の配置と神官
  たちの安否が確認できれば十分だろう。占領軍のボスは神殿には滅多にいないからな」
ア「占領軍の大将…?容姿はわかりますか?」
マ「獣のような男だ。赤髪と髭、左肩に入れ墨をしている。身長は190くらいか…」

その時、小屋の中から声が響く。アレルヤは咄嗟に井戸の影に隠れる。

サ「マリア!おっせぇよ、何してんだ!!」

ア「(マリア…?この人の名前か…?)」

マ「少しくらい夜風に当たらせろ!テメェの相手は身がもたねぇんだ」
サ「覚悟しとけっつたろうが。さっさと来い!」

マリアと呼ばれた黒髪の兵士は小さく舌打ちをし、「水を飲んだら行く!」と叫び返す。

マ「…今のが占領軍を率いてやってきた男だ。サーシェスという。ファーストネームかファミリーネーム
  かは知らんが、向こうの兵士がそう呼んでいた」
ア「敵のリーダー格の人間がこんな所でなにを…?あなたの監視?」
マ「それもあるが…。少しくらい察しはつくだろう…?」

マリアはアレルヤが表情を翳らせたのを見、苦笑する。

マ「今晩と明日の晩は、俺がサーシェスを引きつけておこう。煽らなければこの体もそのくらいもつだろ
  う。娼婦の真似事は慣れたからな」
ア「どうして…。ハレルヤ…昼間あなたと戦った僕の弟の話を聞けば、あなただってあの男を倒せるだけ
  の力があるでしょう…?」
マ「そうかもしれない…。が、人質を取られてしまってな。街のみんなを犠牲になんて俺にはできない」

マリアは井戸から水を汲み上げ、手のひらをすすいでから水をすくい、喉へ流し込んだ。

マ「君にも双子の姉弟がいるんだな」
ア「え…?あ、はい…」
マ「俺もだよ。そうか、昼間の彼と雰囲気が違うと思ったが別人だったんだな。弟くんには怪我をさせて
  しまってすまなかった」
ア「いえ…。あの、ご兄弟はいま…?」
マ「神殿にいる。もし会うことがあれば俺は無事だと伝えてくれ。無理はしないでくれと」
ア「わかりました。あの、マリアさん…?」
マ「なんだ?」
ア「明日もこの時間に出てこられますか?」
マ「難しいが…努力しよう。君の名前は?」
ア「アレルヤです」
マ「アレルヤ…。神への感謝の言葉だな。いい名前だ。俺は…――」

サ『おいマリアーっ!!』

マ「――…好きに呼べばいい。元の名前など、もう名乗れないからな。娼婦のマリアで十分だ」
ア「そんな…こと、言わないでください。あの、男の人にこんなこと言うのは変かもしれないけど、マリ
  アさんはとても綺麗ですから」
マ「‥‥‥‥、ふふっ、ありがとう。気休めでも嬉しいよ」

マリアは踵を返し、口元に浮かべていた笑みは消して冷たい目つきをして小屋へ戻っていく。
戸が閉じられ、アレルヤがその場から立ち去ろうとした時、小屋の中からマリアの声が漏れ始めた。制止
や拒絶をする悲鳴のような声にアレルヤは表情をゆがめ、更にマリアの声を遮るようにサーシェスの怒声
が響いた。

サ『ンな反抗的な態度してっと、神殿にいるテメェの兄弟も同じような目に遭わすぞ!汚さなきゃいいん
  だ。いくらでもやりようはあんだぜ!?』
マ『わかっ…、だから、ナナ…には…!!』

最初っから素直にしてりゃいいんだよ、という声を最後に、アレルヤはその場から逃げるように、壁を越
えてきたハレルヤたちの元へ戻っていった。マリアを助けられないあの状況で、あのままあの場所にいる
ことは耐えられない。

マリアに聞いてきた情報を他の四人へ伝え、最終確認をした彼らはそれぞれ夜の街へ消えていった。



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どれだけ間が空いてたんでしょうね(滝汗)

今回は超兵パねぇ(笑)回でした。あとはアレニルのいちゃラブ…かな?
超兵の跳躍とか急降下とか好きです。スピード感のあるアクションが好きv

続編は期待せずにお待ちくださいorz


2011/08/01

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