それぞれのハロ



わたし、ミレイナ・ヴァスティは、ある日気づいちゃいました。

それまでパパのお手伝いをしてるハロズとデュナメス‥‥今はケルディムのサポートをするオレンジハ
ロ、わたしのまわりにはたくさんのハロがいたんですぅ。取り敢えずはオレンジハロについてお話する
です。

四年間の沈黙を破り、再び活動を始めたソレスタルビーイング。
今回はわたしもオペレーターとしてプトレマイオスUに乗っているんですが、マイスターの皆さんが揃
ってからは、オレンジハロはよく、ストラトスさんかフェルトさんと一緒にいるです。あとはたまに二
人がいない時はハプティズムさんのところにいることもあるです。

それでわたし、気づいちゃったです。

皆さん、ハロに対して接し方が違うです!

フェルトさんはいつも、なんていうんでしょう、ハロのことをマスコットみたいに抱っこしてるです。
まるでクマさんを抱っこするみたいに抱いて、話しかけたり、ぎゅっとしたりするです。心細い感じを
ハロに支えてもらってるみたいにも見えるです。

ハプティズムさんとハロの組み合わせはちょっとびっくりしちゃいましたが、意外と仲がよろしいみた
いです。昔は殴り合いの喧嘩をしたという話も聞きましたが、きっとアイオンさんの嘘ですよね。
ハプティズムさんはハロとお友達と話すみたいに話すです。お茶を飲みながらお話したり、パパの整備
を手伝いながら世間話したり、フェルトさんとはちょっと違うみたいです。

それから、ストラトスさん。
昔のストラトスさんはいつもハロを抱っこして、対等な感じで話しかけてたみたいです。ハロのことを
「相棒」って呼んで、まるで人間みたいに扱うから、それでトレミーのみんなのハロへの接し方が変わ
ったんだってパパが言ってたです。
でも今のストラトスさんはハロを独立AIのサポートロボットか、丸いペットロボットみたいにしか見
ていないみたいです。あまりハロを抱っこしたりしないし、こないだも訓練が終わってケルディムから
下りてきたところを見たんですが、ストラトスさんの後ろをハロがコロコロ転がってきてたです。きっ
と昔のストラトスさんだったら抱っこしてきてましたよね…。
あ!別にストラトスさんを責めてるわけじゃないです!今のストラトスさんはストラトスさんなりにハ
ロと付き合っているんだと思います。お暇な時はハロを高い高いして遊んだり、転がして遊んだりして
ました!

ほらほら!見てください!!



「よっしゃハロ!行くぜ!」

「ドントコイ!ドントコイ!」

「そりゃっ!!」



何してるかわかりますか?そう!ビーチバレーです!

実は今、太平洋上のある孤島に来てるんですが、赤道付近ということでとってもあっついんですぅ。
私とストラトスさんはこんなにあっつい所に来たことなくて、ストラトスさんは半袖のTシャツと裾を
折ったズボンでさっきまで日影でひぃひぃ言ってました。わたしもキャミソールになろうと思ったらパ
パに怒られて、仕方なくTシャツで我慢してます。ノリエガさんにはセクハラ発言しておいて、親馬鹿
にも程があるです!
あ、お話戻しますねっ。

少し前のことです!
木陰で休んでいたストラトスさんはハロを見つけると、暇だったのか手招きして、いつもみたいに高い
高いして遊んでました。

「あっちぃなぁ〜」

「アツイ!アツイ!」

「俺、アイルランドとイギリスからほとんど出ないで人生過ごしてきたからさ、こんなあっちぃ場所初
 めてなんだよ…」

「ウゴケナイ?ウゴケナイ?」

「いや、動けないことはないけど‥‥」

そこで言葉を切ってストラトスさんは砂浜を見ました。
砂浜には体力トレーニングと称して、上半身裸で下はジャージを着たハプティズムさんとセイエイさん
がひたすらランニングを続けていたです。ストラトスさんはそれを見て余計に疲れてしまったみたいです。
するとハロは一旦ロックオンさんの傍を離れて、どこからかビーチボールを持ってきたです。

「お?ビーチボールか…」

「アソブ?アソブ?」

「うーん…そうだな!」



そんなわけで二人はビーチボールを互いに打ち合ってるということです!

「エイッ!」

「ぅおっ!?」

バサッ!

「っ、てぇ〜!」

「コケタ!ロックオン、コケタ!」

「うっせぇ!!砂に足取られたんだよ!」

「コケタ!コケタ!」

「だぁもうコノヤロ!食らえ!!」

「ポイントシュウセイ!ポイントシュウセイ!」

「うわっ!!」

砂浜に尻餅ついたストラトスさんがそのままの体勢でハロに向かってボールを打ったですが、ハロは一
応AIですから落下点と返球角度を即座に計算して、正確にストラトスさんに弾き返したです。ストラ
トスさんは手を伸ばしたですが届かなくて仰向けに倒れちゃいましたです。

「だぁぁぁムカつく!暑さのせいで余計に!!お…?」

倒れたストラトスさんの視線の先にはトレーニングに一息ついて、タオルで汗を拭きながらドリンクを
飲むハプティズムさんとセイエイさん。

「なぁ!俺にもくれよ!」

「えっ!?あ、すいません!これしかないんです!」

「残りでいいから!」

「僕もうほとんど飲みきっちゃった。刹那は?」

「まだある。いるか?」

「くれ!干からびそうだ!」

セイエイさんからドリンクを受け取ったストラトスさんは起き上がってゴクゴクと喉を鳴らして飲みき
っちゃいました。

「ぷはっ!サンキュ!」

「あぁ」

「あ、そだ。お前らもビーチバレーする?」

「ビーチバレー?」

「さっきハロとしてましたよね」

「‥‥ビーチバレー‥‥」

セイエイさんの考えてること、最近はわたしにもわかるようになってきたです。その時のセイエイさん
は「いい年した男が三人でビーチバレーって(汗)」って感じでしたです。ていうか遠回しの拒否の言葉
も出てきたです。

「ロックオン‥‥」

「ん?」

「お前はいま何歳だ」

「えーと…」

「僕の四つ歳上だから29歳ですよね」

「そうだな。はぁ、もう三十路か…」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

この時の刹セイエイさんの心の中の言葉は『ガチでAIとビーチバレーする29歳ってどうなんだ!?』って
感じですかね!わたしはいいと思うんですけど…。
ってことで、ミレイナ・ヴァスティ、観察日記を終了し、ビーチバレーに参加します!

「わたしやりたいです!」

「お、ミレイナはノリがいいねぇ!!」

「フェルトさんもやるです!」

「え、あ…私は‥‥」

「いいじゃんいいじゃん!」

「俺はやらな」

「セイエイさんはストラトスさんとフェルトさんと同じチームです!わたしとハロとハプティズムさん
 はオレンジチームを組むです!!」

「僕いまオレンジ着てないけど…」

「気にしないです!」

「キニシナイ!キニシナイ!」

「ふぅ…しょうがないね」

ストラトスさんとハプティズムさんが砂浜に線を引いてコートを作ってくれて、試合開始です!

「よっしゃ!お手柔らかに頼むぜ!」

「行くですよ!それっ!!」



ビーチバレーはすっごく楽しかったです!途中でフェルトさんがリタイアして、代わりにクロスロード
さんを入れて続けました。
すっごく楽しかった、ですが‥‥。

「刹那ぁ〜、首の後ろもローション塗ってくれ〜。もう全身ヒリヒリしてたまんねぇ‥‥」

「はぅ〜。はしゃぎ過ぎたですぅ。熱射病ですぅ‥‥」

今ハプティズムさんがわたしの分も冷えピタを取りに行ってくれてるですが、二人とも軽い熱射病にな
ってしまったです。
わたしは日焼け止めを塗っていたからまだよかったですが、日焼け止めを塗ってなかったストラトスさ
んは普段は真っ白なお肌が真っ赤になってしまって、すごく痛そうですぅ。

「大丈夫?はい、冷えピタ持ってきたよ」

「サンキュー…」

「ありがとうございますぅ…」

ハプティズムさんは心配そうな顔をしてわたしに冷えピタを貼ってくれたです。

『ティエリアに怒られただろ?だから途中で休めって言ったんだ』

「うん、ごめんね。僕や刹那は慣れてたけど、二人は初めてだったね。僕が気をつければよかった」

『ま、一番歳上で一番はしゃいでたライルは自業自得だけどな』

「くすっ…」

『な、なんだよその笑いは!!』

「でも、実は一番はしゃいでたよね?」

『う、うっさい!!』

「そうか?一番はミレイナだろ」

ストラトスさんは言いました。そっか、ストラトスさんは見えてないんでした。ハプティズムさんが言
ったのは、自分のことではなく、ストラトスさんの傍にいるもう一人のストラトスさんだということを。
確かにもう一人のストラトスさんはビーチバレーの最中、とっても楽しそうでした。ハプティズムさん
をたくさん応援してたです。なんだかすごくラブラブな感じがしたです。

「わたし、楽しかったですぅ」

「うん、よかったね」

「またみんなでビーチバレーしたいです」

「今度は気候の穏やかな所で遊ぼうぜ」

「ですぅ!ストラトスさんもですよ!」

「ん、あぁ」

わざわざそう言ったわたしに、ストラトスさんは頷いてくれましたが、わたし本当はもう一人のストラト
スさんに向かって言ったです。でも見えてないと思われてるらしくて、ただ嬉しそうにストラトスさん
を見てニッコリ笑っただけでした。

ローションを塗ってもらったストラトスさんはフラフラしながらお部屋を出て行くです。もう一人のス
トラトスさんもハプティズムさんのおでこにキスをしてついて行ってしまわれましたです。

「行くぜ、ハロさんよ」
『行くってよ、相棒』

ハロはもう一人のストラトスさんが見えているのでしょうか。
まだハロはストラトスさんの後ろをコロコロ転がっていくだけです。


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ミレイナ視点。「です」の使いどころがわからない(苦笑)

ロックオンは幽霊になって戻ってきて、いつもライルの傍にいる設定。
見えているのはアレルヤ、ミレイナ、ラッセ、スメラギさん辺り?なんとなく存在は感じている刹那。
ライルとおやっさんは見えてないと思います。ティエリアとフェルトは…どうかな。
モレノさんもおやっさんの傍にいるといいな…。黙って傍にいて、なくしたスパナとかをこっそり机の
上に置いておいたりとか。
きっとクリスやリヒティもいますよね!

っていうか。私の妄想ではそんなシリアスな話じゃないんですよ(汗
天使のわっかを頭につけたロックオンが常にアレルヤとイチャイチャしてて、ぷんすか怒ってみたり、
しょぼーんってなったりするんですよ。それがなぜか文章にするとシリアスな話ばっかり書いちゃうん
です…。

これからもロックオン幽霊シリーズとしてなんか色々書くかもしれません。
2008/11/09

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