託宣




薄暗いコックピットの中。僕は自らに課した手錠を外し、轡を外した。

「アリオス、GNシステム、リポウズ解除。プライオリティをアレルヤ・ハプティズムへ」

低く唸る起動音。僕は赤くなった手首を軽く擦った。
明るくなった正面のモニターには他の廃棄コロニーの残骸が映っている。
その向こうに見えるのは四年前に消えた筈の虹色の光の筋。

僕は祈りでも捧げるように呟いた。

「――…空に瞬く虹の星に 止まった刻は動き出す…」

サイドモニターに映るのは地球連邦軍、新部隊の設営記念式典。

「――…享楽の舞 偽り達の宴、祖国の詠…」

僕は手錠の鍵を目の前にぶら下げた。十字架の形をした鍵が左右に揺れる。中央に光る石はエメラル
ドだ。

「――…贖罪の迎え火は天を照らし、戦士の叫びはあまねく響く…」

火器管制、姿勢制御、その他諸々のシステムに異常はない。

「――…冥府に輝くは歪みたる髑髏…」

僕らが倒すべきは統合された世界を圧する者…。

「――…天上に輝くは汚れた十字架…」

僕らは再び動き出す。歪んだ世界を正すため…。

「――…天に上りて星が動きを止める時、望んだ未来の軌跡も消える…」

ソレスタルビーイングの活動は終わっていない。地球の未来は、まだ一つじゃない。

「――…後に残るは地上の楽園。そして刻は正される…」

僕は小さく自嘲の笑みを浮かべた。

「ヴェーダが残した託宣。覚えているのは、僕くらいだろうね…」

髪を掻き上げ、ヘルメットを手にする。

「――…行こうか、ハレルヤ」

返される言葉はない。発進をナビゲートする声も。
僕は手を伸ばし、十字架の鍵に触れた。

「――…行きましょう、ロックオン」

目を閉じ、祈りを捧げた。次に開いたオッドアイはメインモニターしか見ていない。

「アレルヤ・ハプティズム、アリオス、介入行動に入る」



白と橙の翼は地球に降りていく虹色の光を追うように、宇宙に軌跡を描いた。





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託宣のフレーズは『ペルソナ2』のマイヤの託宣を勝手に拝借&改造。

ギアスの後の予告を見ていろんなサイトさんが二期ルヤ妄想をしていたので私も乗ってみました!
…ら、なぜかアレルヤがドMっ子に…(汗)
基本的に私は先読み名人友人Dに先読まれないように起承転結の転結をあらぬ方向へ持って行く傾向
があるっぽいので、私自身、予想外な話になることが多いです(苦笑)
でもね、私はアレルヤはS過ぎてMに見えるだけだと思うんですよぅ。
自分にもSだから拘束具ぷれi(爆)

2008/08/12

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