アレルヤはニールをそっと起こすと、ハレルヤを呼んでくると言って水を渡しながら席を立つ。
一番奥の個室の前で立ち止まり、中から聞こえる声のタイミングを見計らって小さくノックをした。

「ハレルヤ、続きは後で。もうそろそろ帰るからね」

『…おぅ』

中から聞こえた返事にため息をつきながら、アレルヤは席に戻る足を止め、別の個室に目をやる。

「(…まったくもう。ハレルヤとライルのせいで僕まで欲情しちゃったじゃないか…)」

抜いていこうと、扉に手をかけた時、ふいに甘い香りを漂わせた誰かに背中を押され、一緒に個室へ入
ってしまった。甘い香りを放っていたのはニールだった。
とろんとした目のニールは明らかに寝起きで、しかも酔いも醒めていないようだ。

「ミイラ取りがミイラになっちゃったかな…」

アレルヤの独り言をきょとんとした顔で見つめるニールに、アレルヤは優しくキスをした。

「もう帰るけど…。一回だけ付き合ってもらえますか…?」

ニールはふわりと微笑み、今度は彼からアレルヤにキスをする。

「もちろん。その為にお前とここに入ったんだからな」

そこはハレルヤとライルがこっそり逢い引きをしていた個室の隣の部屋。
兄弟揃って何をしているんだろうな、と呆れながら、甘く熱い限られた時間をアレルヤとニールは存分
に味わった。



二組の恋人たちが個室を出てきたのはほぼ同時だったという…(笑)



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