午前3時53分



「――…っていう夢を見たらしくて‥‥。大丈夫ですか、ナナシさん」

「俺は大丈夫だよアレルヤ君」

ソレスタルビーイングの屋敷のナナシの部屋で、ベッドに座ったナナシの両側から抱きついたライルと
ニールが大声で泣き叫んでいた。

「ライル坊や、ニール坊や、そろそろ泣き止まないと狙撃手の目が悪くなってしまうぞ」

「うぐっ、ひぐっ、でも…っ、ひっ、うわぁぁぁぁん…!!」

「ひっく、ひっく…ナナシ、ナナ…うわぁぁぁぁ…!!」

ライルもニールも、ナナシが死ぬ夢を見てからずっとこの調子だ。アレルヤはわざわざマンションから
屋敷までニールを連れて来ていた。

「すいません…」

「アレルヤ君の所為ではない。気にすることはない」

「俺は気にしてんだけど」

不服そうに手を上げたのは椅子に逆向きに座ったゲイリーだ。

「なぁ、内容はナナシとお・れ・が・死ぬ夢なんだろ?なんで俺には泣きついて来ないんだよ!!」

「誰がお前になんか泣きつくか!!うわぁぁナナシィィィ!!」

「ナナシさぁぁぁんうわぁぁん…!!」

「ふぅ、困った子たちだな」

「って、なにちょっと嬉しそうな顔してんだよ!!」

「気のせいだ」

「お前!ライル坊だけじゃなくニール坊とまで二股する気か!?」

「何を馬鹿なことを言っている。ニール坊やはアレルヤ君の恋人だろう。しかも既にアレルヤ君とハレ
 ルヤ君に対してニール坊やが二股中だ」

「だーけーどーよー!!」

ナナシは再び深くため息を吐くと、そっぽを向いてポツリと言った。

「――…夢ではなく、現実で言いたいのだがな‥‥」

“愛してる”の言葉を。



勿論、死ぬ間際ではなく、

永遠に生きていく道のりの中で。


生憎ナナシの言葉に気づいたのは誰一人としていなかった。



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死ネタじゃないですよ!夢オチですよ!!
この話は「さぁて、そろそろ寝ようかな♪」と思って布団にもぐってから、妄想してたら止まらなくな
って書いたお話です。
涙が止まらなくて、目を真っ赤にしながら書いてた記憶があります。
タイトルの時刻が『さいごに言えた言葉』を書き終えた時刻です。それからこの夢オチを書いて、『夢
でも望みたい現実』は寝て、起きてから書きました。
すごく満足した気分で寝た気がします(笑)

2008/06/16

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