ナナシ CB加入後 過去話 「ナナシさんは若い頃、蝶々の世話をしてたんですよね?あれ、なんて蝶々ですか?」 「さぁね」 ナナシはロックオンの指差す蝶を眺めて、優しく微笑む。 「皆目、見当もつかないな」 「え?だって、昔、俺がナナシさんにナナシさんが俺くらいの歳の時に何してたのか訊いたら『ボ スの飼ってるたくさんの蝶々の世話だよ』って」 「そう、美しくて醜い蝶々達の世話さ」 ナナシはロックオンの耳元に唇を寄せて、しかし瞳は遠くを見つめて伏せる。 「ボスの女達の性欲処理だよ」 「っ!!!?」 スッと離れたナナシは口元を指で隠しながらクスクスと笑う。 「可愛いな、ニール坊や。顔が真っ赤だよ」 「なっ、だっ、だって!蝶々の世話って…!」 「ボスの愛人達は皆綺麗に着飾った蝶だ。その蝶たちは主人にないがしろにされ、不満気な顔をし て世話係の俺の所に来る。『キスまでしといてまたその先はおあずけされちゃった。ねぇナナシ、 私を抱いて?』とね」 「――…ナナシさんは、嫌じゃなかった…?」 「断れば次の日俺は路地裏のゴミだろう?蝶達の不満を解消させるのも俺の役目だったからな」 ロックオンは泣きそうな顔で、5年前より近くなったナナシの瞳を見つめた。 「どうしたニール。泣きそうな顔をしているな?」 「――…れ、は…っ」 「?はっきり言いなさい?」 「っ。俺は!…俺は、ナナシさんの役に立ちたくて色々教えてもらってた…――ナナシさんが好き だったから抱いてもらってた!!」 「ニール…?」 「そんな、女達とは違う!!俺はちゃんと、ナナシさんがよくて…っ!!」 「ニール」 ナナシの人差し指がロックオンの唇を押さえる。僅かに涙を溜めたロックオンの目がナナシとその 指を行き来する。 「昔はともかく、今お前がそんなことを言ったら、お前を愛してる恋人が寂しがるぞ。お前がとて も優しい子なのはわかったよ。ありがとうニール坊や」 「ナナシさ…――」 ナナシはロックオンの頭を撫でてから、頬にキスを落とし、「時間だ」と言って背を向ける。 ロックオンは離れていくナナシを追って回り込むと、ナナシの首に腕をまわして、唇にキスをした。 「いってらっしゃい、ナナシさん!」 「――…行ってくるよ、ニール」 ロックオンの脇をすり抜けて、やがて姿を消すナナシ。ロックオンは笑顔でその背を見送った。 その後で、一部始終を見られていたアレルヤに、感覚がなくなるほどキスをされまくったのはまた 別の話(笑) あ、ニールはナナシさん限定で「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」「おはようございます」 「おやすみなさい」のキスを躾られてます。 |