Encounter with Iすくりーむ Youすくりーむ♪ (CBの基地にそんなもんがあるかどうかなんて知らないが)ソフトクリームを作る機械の前で神妙な 面持ちで機械を睨んでいる奥スナナシ。そこにたまたまやって来たFSナナシ。見なかったフリをしよ うとしたが堪えかねて声を掛ける。 FS「何をしている」 振り向く奥スナナシ。 奥スナ「どうすればソフトクリームが作れるんだ?」 FS「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」 FSナナシはその時初めて泣きたい気持ちというものを知った。 奥スナ「どうした」 FS「‥‥作ってやるから、コーンを貸しなさい…」 奥スナ「ん」 FS「(絶対にコイツが“俺”だとは認めない…っ!!)」 器用にソフトクリームを作るFSナナシ。勿論、もう一人の自分以外の人間に見られたら一貫の終わり だと思っている。なので食堂の入口の気配を探ることは怠らない。 FS「出来たぞ」 奥スナ「すまない」 奥スナナシに出来たソフトクリームを渡し、長居は無用、と立ち去ろうとするFSナナシに向かって、 渡したばかりのソフトクリームが差し出された。 FS「なんだ?」 奥スナ「一口目はお前にやる」 FS「俺はいらない」 奥スナ「そうなのか?」 FS「どういうことだ?」 奥スナ「お前が“俺”なら、お前も食べたいのかと思ったんだが…」 FS「‥‥‥‥‥‥‥」 奥スナ「本当にいらないのか?」 FS「‥‥一口もらおう」 奥スナ「いいぞ」 FSナナシは奥スナナシがソフトクリームを持つ手に己の手を添えて、小さく口を開く。まとめきれな かった前髪が落ちてくるのをもう片方の手で押さえる前に、奥スナナシの手がFSナナシの前髪を押さ えた。 FS「‥‥すまない」 奥スナ「構うな」 FSナナシはソフトクリームの先を口に含む。 奥スナ「美味いか?」 FS「あぁ」 奥スナナシは満足げに微笑を浮かべ――それは他人と比べたら殆ど無表情と変わらない僅かな表情の 変化だったが――それでもFSナナシはそんな笑みを浮かべたことがなかったので少しだけ衝撃を受け た。 思わず呟いてしまう。 FS「俺でもそうやって笑うことができるんだな」 奥スナ「?言っている意味がわからない」 FS「いい。なんでもない」 そう言って首を振ろうとした時だった。 奥アリ「ちょっ、お前ら何してぐふっげふっ…!!」 FSロク「うわ、ちょっと鼻血大丈夫かよ…ていうかナナシさんが…ナナシさんが…!!」 二人のナナシは、片やソフトクリームを差し出し相手の頬に手を添え、片や相手の手に触れている。 そんな絵面を見てアリーが平静を保てるわけがなかった。FSナナシは一時でも気配を探ることを怠っ た自分を呪った。 ------------------------------------------------------------------------------------------- ふざけすぎたかなぁ…いや、後悔はしてません。 私のなかでは、一見FSナナシさんがリードしそうだが結局奥スナナナシさんが全部を持って行く(笑) こう見えて奥スナナナシさんのほうが攻めだと思ってます。 2008/05/27 |