trick or treat あと一時間もしたら日付が変わる。 そろそろ子どもたちを寝かせてやろうかとアリーやナナシが話をしていた頃、ふいに店の入口が開く 音がした。 アリ「誰だ?こんな時間に」 店の主であるアリーが立ち上がって見に行く。 アリ「はいはい‥‥。お」 ?「アリー…――」 アリ「よぉ。子どもら来てんぜ。入れよナナシ」 FSナナ「世話をかけた」 エス「お客さん??あーっ!!ナナだぁぁぁっっ!!」 ツイ「ナナっ!?」 奥ナナ「もう一人の俺がっ!?」 ドタバタと居間から飛び出してくる。エステルとツイラーグを抱きとめ、ついでに抱きついてきたも う一人のナナシも抱きとめてやった。 ビア「ちょっと待て!!俺は!?ていうかなんなんだこれ!!」 FSナナ「ちゃんと此処に来る前に説明しただろ。俺たちと同じ姿をした別人の暮らす世界だ」 アリ「マジだ。俺にそっくり…」 奥ナナ「こっちの世界のアリーに似て、馬鹿で蟻でしょうがない奴じゃないだろうな!?」 ビア「蟻ってなんだ!!」 FSナナ「大丈夫だ。よくしてくれる」 ビア「ナナシぃぃっがげふっ」(FSナナシの裏拳が入る) 奥ナナ「よかった♪お前が幸せそうでよかったvv」 パタパタとこの世界のナナシの髪が尻尾のように揺れる。 FSナナ「わかった。わかったから尻尾を振るな」 アリ「‥‥‥‥‥‥‥」 ビア「‥‥‥‥‥‥‥」 FSナナ「お前たちも嫉妬するな!!(泣)」 ツイ「? まだ誰か来てるの?」 FSナナ「あぁ。エトワール!!来なさい!」 居間からエトワールが出てくる。 店に別世界のライルが入ってきた。 エト「父さんっ!」 FSライ「エトワール!遅くなったな。迎えに来たぞ」 エト「うん…」 FSライ「――…怪我はないみたいだな。よかった‥‥」 エト「うん」 奥ナナ「‥‥‥‥‥‥」 FSライ「ん?え‥‥もしかしてナナシ…?」 奥ナナ「ナナシ・ヴァスティ」 アリ「改めサーシェス!!いでっ」(奥スナナナシの右ストレートが入る) FSナナ「‥‥‥籍を入れたのか?」 奥ナナ「入れてない!!!!」 アリ「同居し始めたんだ♪」 奥ナナ「アリィィィ!!」 FSナナ「よかったな…」 アリ「ありがとうvv」 ビア「ムカッ。俺とナナシは子どもいるぞ!しかも双子だっいで」(FSナナシの膝蹴りが入る) FSナナ「張り合うな馬鹿!!」 ビア「だってナナシが頑張って産んでくれた自慢の子ども…」 奥ナナ「俺は女だったのか!?」 FSナナ「違う!!!!」 アリ「養子じゃないのか?」 エス「あたしもツイラーグもちゃんとナナのお腹から生まれたよぉ」 奥ナナ「女だったのか…」 FSナナ「だから違うと…!!もういい!後で話す!!」 ロク「ナナシさーん?どうかしましたかー?」 FSナナ「!! この世界のニール坊やも来ているのか」 奥ナナ「ああ。ニール坊やとアレルヤ君とパトリック君だ」 エト「‥‥‥‥‥マズイ」 FSライ「どうした、エトワール」 奥ライ「なになに?エステルのお迎えが来たのか?」 エス「ナナと父とライルが来たのーっ!!」 エト「ちょ、エステル!!」 奥ライ「なんだって!?俺も来てるのか!?」 がたがたっ。 エト「うわぁぁぁぁぁ!!!!」 絶叫して、店と家を繋ぐ戸を押さえるエトワール。 奥ライ「ちょっ、卑怯だぞ!いいじゃんかもう一人の自分に会うくらい!!」 エト「駄目だ!!絶対に駄目!!」 奥ライ「うわぁぁんエトワールがいじめるよニールぅぅぅ!」 FSライ「――…まさか、この声‥‥」 ツイ「この世界のライルだよ」 FSライ「‥‥‥‥‥‥‥‥」 エト「駄目だ!!行かせない!!」 奥ライ「しょうがない、諦めるか‥‥」 ガタガタと鳴っていた戸が落ち着く。ふぅ、と息をついたのも束の間。 奥ライ「なんて実はこっちからも開いたりして♪」 エト「〜〜〜〜〜っ!!!!」 ミーアコスから私服ステラコスに着替えたライルが軽い足取りで店に入ってきた。 奥ライ「おまぬけさん♪」 ペチン、とエトワールの額を指で弾いて、店の入口で固まっている別世界の自分たちにニコニコと近 づいていった。 エト「終わった‥‥‥」 奥ライ「こんばんはv」 FSライ「お前‥‥誰だ」 奥ライ「ライル・ディランディでっす♪」 ジャキッ!! FSライ「認めない。お前がもう一人の俺だなんて認めない‥‥っ!!!!」 奥ライ「おおお!!別世界の俺は銃が使えるのか!」 FSライ「よっぽど死にたいらしいな…!!」 FSナナ「ま、待ちなさいライル坊や!!ゲイリー!お前も止め‥‥」 ビア「女装!!ライル坊がヒラヒラの女装!!語尾に“♪”まで!!(爆笑)」 FSライ「こんがきゃぁぁ!!テメェも殺す!!!!」 ジャキッ!! ビア「ぎゃぁぁぁ!!」 奥ライ「二丁拳銃だぁぁぁ!!vv」 FSライ「はしゃぐなぁぁぁ!!!!」 FSナナ「あああもうお前らぁぁぁ!(汗)」 奥ナナ「まぁまぁ落ち着いて。ホットケーキ食べないか?」 エス「美味しかったよー」 FSナナ「ホットケーキ?」 奥ナナ「俺特製のホットケーキだ。ほら」 皿に盛って置いておいたホットケーキを一口あーん。 もぐもぐごっくん。 FSナナ「やはりお前のホットケーキは美味いな」 奥ナナ「そうかvあぁ、シロップがついてる…」 FSナナ「っん…っ」 ちゅっ、ちゅっ、ぺろっ。 奥ナナ「シロップだけというのは甘いな」 FSナナ「‥‥その癖も相変わらずか…///」 エス「ナナがナナに食べられちゃった…」 FSナナ「はっ!エステル!?」 エス「父!見てた!?ナナがナナを食べちゃったよ!!」(キラキラ) ツイ「取り敢えず父ももう一人の父も鼻から出血多量で死にかけてるよ」 FSライ「アホだろ」 奥ライ「なぁなぁ。お前、銃を使うならこれやるよ。ニールはいらないって言うんだ」 FSライ「? 銃弾?」 奥ライ「俺、火薬細工師なんだ。ニールの為に作ったのに、この型のはまだ在庫があるからって」 FSライ「わかった。ありがとう」 奥ライ「えへへっ。仲良くなれてよかったvv」 FSライ「ただの馬鹿じゃなさそうだからな」 奥ライ「じゃあついでに一緒にラクスのコスプレ… FSライ「やっぱり撃っていいか?」 奥ライ「きゃーっ♪」 居間に逃げていくライルを追うもう一人のライル。 はしゃいでナナシの腕を引くもう一人のナナシ。 その様子をキラキラした目で見て追いかけるエステル。 ツイラーグは倒れた父親を叩いて起こし、エトワールを連れて母親の後について行った。 アリーとゲイリーは鼻血を吹きながら、最初は自分の世界のナナシをアピールしまくっていたが、段 々と意気投合し、酒のつまみを作って居間へ参戦した。 翌日。夜明け前。 子どもたちを抱いた三人は朝靄の中、店の前に立っていた。アリーとナナシが見送りに立っている。 奥ナナ「また、会えるよな…」 FSナナ「きっと。どうやら俺たちの世界とお前の世界は、繋がりが深いらしいからな」 アリ「俺はナナシを幸せにする。お前もナナシを大事にしろ」 ビア「当たり前だ。何があってもナナシを守る。子どもたちもな」 ライルは黙って、エトワールを抱き直す。その時、かぼちゃの帽子を忘れていることに気づいた。 奥ライ「はい」 店から出てきたもう一人のライル。手にはかぼちゃの帽子を持っている。 奥ライ「ほつれてたとこ、直しといたから。片親なら、そういうところもちゃんとしてやらないと駄 目だぜ」 FSライ「―――…目‥‥」 奥ライ「ん?」 FSライ「お前も、目を怪我しているんだと思ってた」 現れたもう一人のライルは眼帯を外し、普通の服を着ていた。 奥ライ「そういうコスプレもするけどな。大抵は火薬が目に入って腫れてるだけ。お前は…そっか。 怪我してるんだな‥‥」 FSライ「なんだか、同じ人間なのに、お前のほうが兄さんみたいだな。ニールを兄だと思ったことな いのに…」 奥ライ「なら、いいよ?兄さんになっても。またきっと、今度は会いに行くから」 FSライ「ククッ、お断りだよ。こんな阿呆な兄貴なんか」 奥ライ「言ってくれるねぇ」 朝日が商店街の向こうから顔を出し始めた。 ビア「行こう、ナナシ」 FSナナ「あぁ‥‥」 アリ「ナナシ」 アリーは去る前にナナシを呼び止める。エステルを抱いたままのナナシを優しく抱いて、頭を撫でた。 額に軽くキスを落とす。 アリ「またな」 ナナシは頬を染め、コクンと頷く。 FSナナ「ありがとう…」 奥ナナ「元気で」 ちゅっ、と軽くキスを交わす。いい加減、もう一人の自分からの突然のキスももう慣れた。 FSライ「コスプレも程々にしろよ」 奥ライ「むしろお前もすればいいのに」 FSライ「誰が…!!」 奥ライ「冗談♪」 ため息をつき、二人は笑い合った。 『またな』 朝日が昇る。 そして、二つの世界は再び分かたれた。 --------------------------------------------------------------------------------------------- なんか中途半端な終わりですがこれで完結です。 奥スナライルに一番衝撃を受けるのはやっぱりFSライルだとは思ってましたが、まさか銃を向けると は…(苦笑) ていうかそろそろエステルまずくないか…?(汗) それからもしかしたら奥スナナナシさんに拒絶反応出てる人がいるかもしれない。注意書きを怠って すいません。。。でももう取り敢えず、奥スナの名前が出てきたらみんなこんなもんだと思ってくだ さい。 でもね、私もう一回、彼らを会わせてやりたいんですよ。そうしたら友人のこから「クリスマスがあ るじゃないかぁ!」と言われましてね。…そうだった!! ということでクリスマスに、また彼らに会えるかも知れませんね。 2008/11/02 |